
2023年6月1日からスタートしたLINE公式アカウントの新プランでは、各プランの無料配信通数が減少しました。そのため、これまで無料通数内で収まっていたアカウントでも、6月から追加配信費用が発生する可能性があります。
新プラン改定の発表をきっかけに、LINE公式アカウントの運用方法について見直しを始めている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、LINE公式アカウントのプラン改定に合わせて、より費用対効果を上げるための工夫を解説していきます。「友だち数が1万人以上かどうか」「運用リソースが十分にあるかどうか」で分けておすすめの施策を紹介していくので、ぜひ当てはまるところだけでもご覧ください!
新プラン適用は2023年6月1日から!まずは詳細をチェック
まずは2023年6月1日から適用された、新プランの詳細を確認していきましょう。
プラン改定に伴い、2023年2月1日より現プラン料金の日割り適用も廃止されています。(2023年6月時点)
▼旧プラン

▼新プラン

新プランに移行した後、月額費用をシミュレーションしたい場合はこちらの記事をご参照ください。
プラン改定後の活用方針を決めるその前に、LINEの運用方法を整理整頓
方針を考える前に、まずは前提条件になる「費用」について整理していきましょう。
前提条件を整理することで、効果的な配信施策を吟味しやすくなります。
このメッセージは有料?無料?LINE配信の課金されるメッセージとは
LINE公式アカウントにはさまざまなメッセージ機能がありますが、すべてのメッセージ配信が課金対象としてカウントされるわけではありません。LINEチャットの送受信や、自動応答メッセージなど一部のメッセージ配信は無料で活用できます。(引用:料金プラン | LINE for Business)
【課金対象としてカウントされるメッセージ】
- メッセージ配信(絞り込み配信,ステップ配信含む)
- Messaging APIの「Push API」「Multicast API」「Broadcast API」「Narrowcast API」
【課金対象としてカウントされないメッセージ】
- LINEチャットの送受信
- 応答メッセージ
- AI応答メッセージ
- あいさつメッセージ
- Messaging APIの「Reply API」
LINE公式アカウントから友だちに対するメッセージ配信や、LINE配信ツールを利用したメッセージ配信は課金対象としてカウントされます。課金対象のメッセージのカウントがプラン毎の無料通数分を超えた際、追加メッセージの費用が発生します。
プラン改定後は「課金対象にカウントされないメッセージを有効に活用すること」「課金対象にカウントされるメッセージに優先順位をつけ、より効果的に活用すること」が重要になります。
友だち数・運用リソース別に今後の運用方針を考える
売上を目的にした配信ばかりでは販促要素を含むメッセージが多くなり、ユーザーにとって不要なアカウントとしてブロックされやすくなります。とはいえ、販促色を抑えた配信ばかりでは直接売上につなげるのが難しいのもまた事実かと思います。
「ユーザー目線で受け取って嬉しいメッセージかどうか」を意識しながら、売上につながる配信の費用対効果を改善していくことが理想的なLINE公式アカウントの活用方法です。
そして、実際施策を実行するには運用リソースとの戦いになります。
友だち数・運用リソースを要素に4つのカテゴリーに分け、優先するべき施策をまとめました。

①友だち数が1万人未満(週一全配信してもスタンダードプランで無料通数に収まるくらいの規模 or ライトプラン以下を想定)。運用リソースがあまりない。
②友だち数が1万人未満。専任の担当者がいて配信や運用に時間がかけられる。
③友だち数が1万人以上。運用リソースがあまりない。
④友だち数が1万人以上。専任の担当者がいて、配信や運用に時間がかけられる。
運用パターン1:友だち数が1万人未満、運用リソースがあまりない
「まだまだ友だち数を増やしていきたいものの、運用リソースがない……」という場合は、基本的な設定をしっかりおさえつつ、省エネで運用できる施策をおこなっていきましょう。
基本的なことではありますが、「LINE公式アカウントの基本設定を完了する」「友だち追加の導線をサイトや店頭に設置する」のが重要です。基礎をしっかり固めておけば、サービスの利用数増加と共に友だちも増えていきます。
本格的に運用を始める段階まで、コツコツ友だち数を積み上げていきましょう。
あいさつメッセージで、配信費用をかけずにひと工夫
LINE公式アカウントを作成した後、最初のステップとしてあいさつメッセージを設定いただいているかと思います。初回で設定したきりで、それ以降メッセージを変更していない方も多いのではないでしょうか?
あいさつメッセージは、友だち追加いただいたお客様が最初に目にするメッセージです。
最大5つまで吹き出しを作成可能ですので、ユーザーに伝えたいメッセージを設定しましょう。
ユーザーにメリットのある情報を、あいさつメッセージでお知らせするのもおすすめです。
- 友だち追加クーポンを配布
- LINEのID連携の方法とメリットを案内
- ブランドのSNS紹介など

問い合わせ&売上UPも期待できる!リッチメニューでスムーズな導線づくりを
配信をきっかけに目にする機会の多いリッチメニューも合わせて改善していきましょう。
LINE経由の売上の約5割がリッチメニュー経由というケースもあるほど、リッチメニューの改善は売上増につながる施策の一つです。下記の参考事例を見ながら、リッチメニューをカスタマイズしてみませんか?
▼リッチメニューには、クーポンの利用誘導やリンクの設置など、メニューをタップすることで様々なアクションを設定できます。リッチメニューのアクション「テキスト」と、応答メッセージを組み合わせて、FAQの作成やサイトへの導線を強化することも可能です!
▼社内外問わず、「デザイナーさんへの依頼ができない」「自分で作りたいけど難しい」という方向けの記事です。ノンデザイナーさんでも、簡単にリッチメニューを作成する方法をご案内しています。
親和性の高いユーザーと繋がるチャンス!サンクスページにID連携や友だち追加の導線を設置
友だち追加の導線をたくさん準備することももちろん重要ですが、一番温度感の高い状態のタイミングで、しっかり見てもらえるような場所に設置するのが理想ですよね。
ECサイトでお買い物をしたりした後に、お客様が必ず目にするページがあります。サンクスページ(購入完了ページ)です。サンクスページを見ているユーザーは注文などのアクションを実行済みで、ブランドに対して温度感の高い状態のため、友だち追加導線を設置するのにぴったりなページです!
また、実際に購入したお客様とLINEでつながることができるという意味で、LINEを活用したマーケティングの基盤づくりとしておすすめの施策です!
Shopifyをご利用中の場合、CRM PLUS on LINEではサンクスページにID連携の導線を簡単に設置することができます。
運用パターン2:友だち数が1万人未満、専任の担当者がいて配信や運用に時間がかけられる
今回のプラン改定にあたり、最も影響が大きいであろう運用パターンです。
LINE公式アカウントの旧プランにおいて、おおよそ毎月1.7万通前後を配信していた場合はライトプランで運用していたケースが多いかと思います。新プランではライトプランの追加メッセージが廃止されるため、スタンダードプランへ移行するケースを多く見かけます。
スタンダードプランへのアップグレードにより無料配信通数の枠が増えた分、できる施策も増えていきます。費用対効果の高い配信を行い、LINE公式アカウントを有効活用していきましょう。
また、メッセージ配信だけでは友だち数は増えません。新規の友だちを増やす施策もご案内します。
オーディエンスを活用!以前のメッセージを開封した友だちだけへの配信で、開封率が25%UP
以前送ったメッセージを開封したかどうかなど、これまでのLINE配信へのリアクションに応じて配信先を変えることも有効です。LINE公式アカウントのオーディエンスを利用して、配信先を設定できます。
実際、弊社のLINE公式アカウントで開封オーディエンスを活用した配信を試したところ、全配信時と比較して開封率が25%向上しました。
実際の配信設定については、こちらのブログをご参照ください。
ターゲットを明確に分けることで、効果につながった事例もあります!
例えば「セール終了間近」の案内をLINEで配信する際、全ての友だちに送るのと「セール開始時の告知メッセージを開封した方」だけに送るのとでは反応がかなり違います。
(引用元:「数字にこだわるからこそ、顧客体験も良くなる」ohora事例で見る Shopify上のデータ × LINEの実践的活用ポイント)

友だち追加広告以外にも、LINEログインの導入で友だちを増やせる
友だち増やす施策といえば友だち追加広告を検討する方が多いですが、実はLINEログインの導入も効果的って知ってましたか?
Webサイトの新規会員登録時にユーザーがLINEログインを用いると、LINEに登録されている個人情報(メールアドレスなど)を会員登録フォームに自動で入力してくれるため、登録が簡単になります。
(参照:※LINE Profile+とは?広がる活用シーンとその安全性を解説)
また、その際にLINE公式アカウントの友だち追加も自然に行えるため、ユーザビリティを高めつつ、特別な施策を打たなくとも継続的に友だち数とID連携数を増やすことができます。

実際にLINEログインを導入した事例として、メガネスーパー様では友だち数とID連携率が大きく伸張。有効友だち数は16倍に、ID連携率は74%まで向上しました。

また、前章で紹介したサンクスページへのLINE連携導線追加も、一度設置してしまえば購入者が友だち追加するきっかけになり続けるのでおすすめです。
運用パターン3:友だち数が1万人以上、配信ボリュームはあるが運用リソースがあまりない
運用パターン2と同じく、プラン改定で影響が大きい運用パターンです。
全ての友だちへ配信を行ってインパクトが出る配信ボリュームはあるものの、実際に細かなセグメントをする時間はあまりない状況かと思います。
現在の配信ボリュームを活用するために、配信をある程度自動化できるLINE配信ツールの導入を検討してみるのはいかがでしょうか?ツールの導入で作業コストを抑えつつ、浮いた時間でLINE公式アカウントのセグメント配信で配信コストも見直しましょう。
購入率30〜50%の事例も!CVに繋がりやすいカゴ落ち配信をLINEでも配信
カゴ落ち配信とは、カートにいれたままサイトを離脱してしまったユーザーに対して、再び購入を検討してもらうためのメッセージ配信です。LINEでカゴ落ち配信を行っている事例の中には、配信経由の購入率が30〜50%という例もあります。(引用:カートリマインド配信機能PR)
LINE Tagを活用することで、LINE関係のMAツールなどを導入しなくてもカゴ落ち配信を設定することも可能です。
Shopifyをご利用中の場合、CRM PLUS on LINEの無料プランからカゴ落ち配信を簡単に設定いただけます!購入を迷っている方への後押しとして効果的です。
購買・顧客データをもとにしたセグメント配信を自動化
セグメント配信とは、友だちを属性や購買履歴などの特定の条件で絞り込み、特定の友だちだけにメッセージ配信を行うことです。
配信通数を抑えられるのはもちろん、より具体的なメッセージにできるので開封率やクリック率も上がりやすくなります。LINE関係のMAツールなどを導入しない場合でも、LINE公式アカウントだけで「友だち追加経路」や「みなし属性」によるセグメント配信が可能です。
弊社が提供しているID連携サービス「ソーシャルPLUS」やShopifyアプリ「CRM PLUS on LINE」では、顧客情報を利用して以下のようなセグメント配信をすることが可能です。
- 購入履歴から〇〇日後にメッセージを配信したい
- 特定の商品を購入した人にだけ、新作の情報をお伝えしたい
- ID連携済みの人にだけ、クーポンを配布したい
参考までに、CRM PLUS on LINEを導入したセグメント配信の設定方法については、以下のブログで公開しています。
運用パターン4:友だち数が1万人以上、専任の担当者がいて配信や運用に時間がかけられる
今回のプラン改定では影響が少ないものの、すでにLINE公式アカウントやLINE配信ツールからのセグメント配信を実行しているアカウントも多く、さらにもう一捻り施策を検討している状況かと思います。
運用パターン1〜3で紹介した施策の中でまだ実行していないものがあればぜひご検討いただければと思いますが、さらに高度なCV獲得の効率UP施策や、リッチメニューと自動応答メッセージの応用方法についてご紹介します。
配信頻度を上げるとブロック率も上がるは間違い?お客様に喜んでいただけるメッセージ配信とは
配信通数や友だちが増えると、次に気になるのはブロック率です。
一度ブロックされてしまうと、いくらメッセージを配信しても届きません。ブロック解除の有効的な施策はほとんどないため、いかにブロックされないかが重要になります。
Francfranc様では、ほぼ毎日LINEメッセージ配信を行っています。
友だちへのメッセージ配信は週1日〜2日の頻度で抑えているアカウントも多い中で、ブロック率を低い水準で保ちながらメッセージ配信を行う秘訣をインタビューしました!
Francfranc様ではセグメント配信も積極的に行っており、LINE公式アカウントのセグメントだけではなくECサイト(顧客・購買データ)の情報も紐づけて配信しています。

ID連携いただいている会員様に向けては、お客様の過去購入商品や閲覧商品、誕生日などの登録情報に応じてパーソナライズした情報を送っています。
■ID連携をもとにしたセグメント配信例
- 2回目購入の促進メッセージ(レコメンド)
- カート落ち商品のリマインドメッセージ
- バースデークーポンメッセージ
- 閲覧商品のリマインドメッセージ
通常の全体配信に比較すると、配信コストは数十分の一、CVR(購入率)は数倍の成果がでています。
お客様の購買データをセグメント配信に活用するだけではなく、多面的に分析することで「いつ・どんなメッセージをお送りすると喜んでもらえるのか」を考えることができます。
お客様ファーストの配信だからこそ、配信頻度が高くなってもブロック率が低い状態を保っている事例です。
自動応答メッセージ×リッチメニューでFAQも設定できる
自動応答メッセージとは、事前に設定したキーワードに対して、LINE公式アカウントから自動でメッセージを返信できる機能です。キーワードを完全一致させる必要があるため、ユーザーへどんなメッセージを投稿すると求めている回答が得られるか、案内することが重要となります。
自動応答メッセージを利用すれば、無料で簡易なFAQを作成することもできます。
例えば、ダイヤ工業株式会社(ダイヤ公式オンラインストア)では、会員向けのリッチメニューをタップすると応答メッセージでカードタイプメッセージを送信し、そこからログインした状態で自社ECに遷移する導線設計を行っています。

計測をGoogle Anaryticsで行っている場合は、GA4対応もお忘れなく!
Google Analyticsで、LINEのメッセージやリッチメニューのリンクに設定したUTMパラメータでLINEからのアクセスを計測し、実際にコンバージョン(売上)につながったかどうかを確認することが可能です。
2023年7月以降、次世代のGoogleアナリティクス4(以下GA4)に完全に切り替わります。
GA4でLINE経由のコンバージョン計測をするには、UAに設定している「目標」をGA4の「イベント」に移行しておく必要があります。引き続き効果検証するために、分析ツールのアップデートも忘れずに行いましょう!
LINE活用についてはソーシャルPLUSにお問い合わせください
今回はあくまで仮の運用パターンベースで施策をご案内しましたが、現実は現場の運用状況により、うまく当てはまらなかったり実行できなかったりするケースもあるかと思います。
LINE公式アカウントのプラン改定後の運用に向けて「どれだけ配信費用対効果を高められるか」「削減すべき工数はないか」を考えることは、今後ますます重要になってくるでしょう。ぜひこの機会に優先順位を決めて、本当に実行するべき施策を見直してみるのはいかがでしょうか。
弊社ソーシャルPLUSは、2023年5月、「LINE Biz Partner Program」の「Technology Partner」「コミュニケーション部門」最上位の「Premier」に認定され、さらに認定バッジ「Performance(メッセージの配信費用対効果を高めることに優れている)」を取得しました。

LINE公式アカウントの開設からCRM活用まで、LINE公式アカウントの運用に関する様々なお悩みに対し、解決に向けてサポートいたします!お気軽にお問合せください。
おといわせはこちら:https://www.socialplus.jp/inquiry