LINE公式アカウントの「チャット」機能を利用する企業が増えています。
友だちとの双方向のコミュニケーションを実現したいと考える企業はもちろん、メッセージ配信が通数課金の対象とならない点も着目される理由のひとつとなっています。
本稿ではLINE公式アカウントのチャットについてその内容や設定方法はもちろん、活用事例やメリットについてもご紹介します。
LINEチャットとは
LINEチャットとは、LINE公式アカウントの友だちからのメッセージに対し、個別で返信できる機能です。LINE公式アカウントの機能の一つで、LINE公式アカウントを開設していれば誰でも活用できます。
メールに加える形でのコミュニケーション手段として、商品やサービスに対する問い合わせ対応など主にカスタマーサポートに利用されています。
<LINEチャット活用シーン>
- 購入検討中のユーザー:
ユーザーの質問や懸念点への回答。ご希望にあわせてお勧め商品や、決済方法や発送に関する情報、使い方の情報をご案内し、購入への不安を解消 - 商品購入後のユーザー:
購入後の商品・サービスに関して疑問点の回答や、利用上のサポートで顧客満足度を向上
友だちからのメッセージ送信が起点
LINEチャットは、LINE公式アカウントを友だち追加したユーザーからの問い合わせメッセージ送信を起点に開始します。複数ユーザーとのグループチャット対応も可能です。
画像やスタンプなどテキスト以外も送信できる
テキストのやりとりだけでなく、絵文字やファイル、登録した定型文やクーポンの送信も可能です。
スタンプも送ることができ、所持している公式スタンプ・クリエイターズスタンプ・プロモーションスタンプが利用できます。
またLINEコールの通話リクエストもチャットから送ることができ、テキストでのやりとりだけでは解決しない内容を電話でのサポートに切り替えることも可能です。
LINEコール:https://www.linebiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/LINEcall/
課金対象としてカウントされない
LINEチャットでの配信はLINE公式アカウントの課金対象外のメッセージです。
2023年6月からLINE公式アカウントの料金プラン改定がありました。
従来のフリープランがコミュニケーションプランと名称変更され、無料メッセージの配信が200通までとなりました。コミュニケーションプランは、チャット活用がメインであれば十分に運用することができます。
尚、課金対象としてカウントされるメッセージとそうでないメッセージは下記の通りとなります。
【課金対象としてカウントされるメッセージ】
- メッセージ配信(絞り込み配信,ステップ配信含む)
- Messaging APIの「Push API」「Multicast API」「Broadcast API」「Narrowcast API」
【課金対象としてカウントされないメッセージ】
- LINEチャットの送受信
- 応答メッセージ
- AI応答メッセージ
- あいさつメッセージ
- Messaging APIの「Reply API」
参照:https://www.linebiz.com/jp/service/line-official-account/plan/
応答メッセージとの併用も可
営業時間中は手動のチャット対応を行い、それ以外の時間は応答メッセージを利用することも可能です。
設定はLINE Official Account Managerの[チャット設定]>[応答時間]で行います。
チャットの応答時間外には、トーク画面上部にその旨表示されます。
自動で応答できる応答メッセージを活用することで、無理のないチャット運用が可能になります。
LINEチャットのメリットと注意したいポイント
顧客満足度向上で購入やリピート利用につながる
ユーザーが日常的に使っているLINEアプリのトーク機能で、時間や場所に関わらず、必要な時に気軽に問い合わせができます。
サポート窓口への電話がなかなか繋がらないといったユーザーのストレスをなくし、必要な時にすぐにサポートを受けることができます。
また、画像も送信できるため、テキストだけでは伝えることが難しい場合でも、適切なコミュニケーションがとれます。
さらにWebブラウザを利用したチャットと異なり、トーク画面に履歴が残るため、セッション切れによりチャットが途中で途切れてしまった…ということもありません。
ユーザーの状況に合わせたきめ細やかな有人対応をすることで顧客満足度向上につながります。
業務の効率化
チャットの履歴から問い合わせ内容が確認できるため、聞き間違えなどのトラブルを回避できます。また、即時対応が難しい場合でも、自動応答メッセージで一時返信をおこない、後から対応できるため、業務効率化にもつながります。
注意したいポイント
すでにメールなどでのサポートを行っている場合、対応すべきチャネルがメール、LINEチャットと複数をまたぐことになります。対応の負荷に加え、サポートメンバーの学習コストも増えることが予想されます。
また、友だち数が多いLINE公式アカウントの場合、対応負荷が大きく運用が難しい場合もあります。
ユーザー心理としてLINEでの質問回答はメールなどと比較して早い返信を期待される傾向もあるため、LINE公式アカウントのチャット運用にあたっては受付時間の制限や複数人での対応などサポート体制について十分に検討する必要があります。
チャット機能の活用例
いくつか活用事例を紹介します。
電話や対面に変わるコミュニケーション手段として活用し、コスト削減
美容室「storia.f (ストーリア)」は、LINE公式アカウントのチャット機能を活用しています。それまで電話やメール、ハガキで行っていた顧客とのコミュニケーションをチャットに置き換えて運用しています。
LINE公式アカウントの活用により、電話がほとんど鳴らなくなり、施術中にスタッフが電話対応に走ることもなくなり生産性が向上したそうです。
ビジュアルでの丁寧な説明で新規の売上をアップ
オリジナルの野球ユニフォーム専門店「ファンゴ」は、LINE公式アカウントのチャット機能を活用して、ユニフォーム作成の依頼を受け付けています。
ユニフォームのイメージデザインをヒアリングするところから始まり、デザインの決定、注文書、見積書などすべてをチャットで行っています。
デザインのやりとりについてはテキストや電話のコミュニケーションだとどうしても齟齬が生まれる場合がありますが、チャットでは画像でやりとりが可能なためスムーズにデザインのすり合わせが可能となります。
結果、注文方法の9割がLINEチャットになっているようです。
細かなコミュニケーションでファンを増やすCRM活用
飲食店「鉄板バル bloom」でもLINEのチャットを活用しています。
友だち追加してくれた方に対して新メニューの紹介などを行いつつチャットにて予約を受け付けたり、来店後はお礼のメッセージを送るなどユーザーとの細かなやりとりを提供しています。
ユーザーに合わせた情報提供を行い信頼性を高めることでリピートに繋げることもできています。
「チャットタグオーディエンス」の活用でLINE公式アカウントから絞り込み配信も可能
LINEチャットでは、チャット対応したユーザーに対して任意のタグを付与することができます。
「タグ」は顧客管理に活用できるだけでなく、タグ付けをしたユーザーを対象にオーディエンスを作成してLINE公式アカウントの絞り込み配信を行うことができます。(チャットタグオーディエンス)
(この配信は課金対象となります)
例えば、6月に来店いただいた方にタグをつけておき、7月にLINE公式アカウントのメッセージ配信で新しいキャンペーン情報をお伝えするといったことも可能です。
チャット機能の設定方法
LINE Official Account Managerのメニューバー「チャット」を押下するとチャットの画面に遷移します。チャット未設定の場合は画像のようなポップアップがでて設定画面に遷移することができます。
設定については「チャット」「あいさつメッセージ」「Webhook」「応答メッセージ」の4つを一括で設定できます。
チャットを利用する場合はまずこのチャットの部分をonにしてください。
その他「あいさつメッセージ」「Webhook」「応答メッセージ」に関する詳細は下記の記事をご覧ください。
まとめ
LINE公式アカウントのチャット機能は、企業がユーザーと直接コミュニケーションを取るための非常に効果的なツールです。顧客サポートの向上、即時性の確保、パーソナライズされた情報の提供、リアルタイムのフィードバックなど、多岐にわたる利点があります。これらを最大限に活用すれば、企業は顧客エンゲージメントを高め、ビジネス成果を向上させることが可能になります。
LINE公式アカウントのチャット機能の活用を検討してみてはいかがでしょうか。