
「LINE公式アカウントの友だち数は増えているのに、売上や申込につながらない」「一斉配信が中心で、顧客一人ひとりに合わせたコミュニケーションができていない」
こうした悩みを抱える企業は少なくありません。
その背景には、LINEを「配信するためのツール」として活用するだけにとどまり、顧客との関係づくりやデータ活用まで十分に取り組めていないケースがあります。そこで注目されているのがLINE CRMです。
この記事では、LINE CRMとは何かという基本から、注目される理由、できること、導入の進め方、企業の活用事例までを解説します。
LINE CRMとは?
LINE CRMとは、LINEを活用して顧客や見込み顧客との関係を築き、顧客理解やデータ活用をもとに、一人ひとりに適したコミュニケーションを行う取り組みです。購入・申込・来店・リピートなどの成果につなげるだけでなく、顧客の利便性を高めることで長期的な関係構築やLTV向上を目指します。
そもそもCRM(Customer Relationship Management=顧客関係管理)とは、顧客との継続的な関係を構築・維持するための考え方です。
「CRM」というと、SalesforceやHubSpotのようなツール(システム)そのものを指して使われることも少なくありません。しかし、本記事では、LINE CRMを特定のツールではなく、LINEを活用したCRMの取り組みとして捉えます。
LINE CRMでできること〜4つのプロセス
LINE CRMでは、LINEを通じて顧客との関係を段階的に深めていきます。
接点をつくり、顧客の状態を理解し、その情報をもとにコミュニケーションを行うことで、顧客体験や利便性を向上させ、初回購入・申込・来店・リピート・LTV向上につなげていきます。
LINE CRMの基本的な流れは、次の4つに整理できます。
接点をつくる → 顧客を理解する → 情報を届ける → 成果につなげる

ここからは、それぞれのプロセスについて詳しく解説します。
①ユーザーとの接点をつくる
まずは、顧客や見込み顧客とのさまざまな接点で、LINE公式アカウントの友だち追加を促します。
代表的な施策
- Webサイト・LP・店頭の友だち追加導線:友だち追加ボタンやQRコードを設置し、Webサイトや店舗、商品同梱物などさまざまな接点からLINEへ誘導する
- ポップアップ:離脱前や一定時間滞在後など、適切なタイミングで友だち追加を促し、接点の創出や機会損失の防止につなげる
- LINE通知メッセージ:購入や発送、予約完了などのお知らせをLINEで配信し、友だち追加のきっかけをつくる
- LINEログイン・デジタル会員証:会員登録やログイン、店舗利用時にLINEと会員情報をひも付け、友だち追加やID連携を促進する
- 友だち追加広告・キャンペーン:広告や特典施策を活用し、新規顧客との接点を増やして友だち追加を促進する
ECサイト、店舗、資料請求フォーム、申込完了ページ、イベント会場など、友だち追加を促せる場面は数多くあります。
それらの接点では、顧客にとって友だち追加するメリットを明確に伝えることが重要です。例えば、クーポンが受け取れる、申込前の疑問を解消できる、購入後の案内を受け取れる、予約や来店に関する情報を確認しやすくなるなど、友だち追加によって得られる価値を伝えることで、自然な友だち追加につながります。
また、友だち追加のきっかけは、その後のコミュニケーションを考えるうえでもヒントになります。例えば、広告やキャンペーンをきっかけに友だち追加した人と、購入後や来店後に友だち追加した人では、興味・関心や求めている情報が異なります。こうした違いを踏まえることで、その後のコミュニケーションをより顧客に合わせて設計しやすくなります。

②顧客理解・顧客管理:ユーザーのニーズを把握する
LINEで友だち追加しても、その時点では顧客がどのような人で、何に興味を持ち、どのような状況にあるのかは十分にはわかりません。そのため、さまざまな顧客データを活用して顧客理解を深め、その後のコミュニケーションにつなげていくことが重要です。
顧客理解に活用できるデータは、大きく3つに分けて考えると整理しやすくなります。
LINEの標準機能で取得できるデータ
まず、LINE上で取得できるデータがあります。性別、年代、エリア情報などのみなし属性、友だち追加経路、メッセージの開封・クリックなどです。これらを見ることで、どの接点からつながったのか、どの情報に反応したのかといった顧客の行動を把握できます。
LINE拡張ツールで取得・蓄積できるデータ
次に、LINE拡張ツールを活用して取得・蓄積できるデータがあります。例えば、アンケートや診断コンテンツの回答、シナリオの到達状況、チャット対応の履歴などです。LINE公式アカウントだけでは把握しにくい顧客の興味・関心やニーズも、こうしたデータを活用することで理解しやすくなります。
自社が保有する顧客データ
そして最後に、自社が保有する顧客データです。
ECであれば購入履歴、購入回数、最終購入日、会員ランク、サービス業であれば資料請求、申込、予約、来店、契約状況などが該当します。実際の購買や利用、申込などの行動に基づくデータであるため、顧客と自社との関係性や利用状況を把握できます。
こうしたデータをLINEで活用するには、LINE ユーザーIDと自社の顧客データをひも付けるID連携が必要です。ID連携によって、顧客がどのような状態にあり、次にどのような情報を必要としているのかを把握しやすくなります。その結果、「未購入」「初回購入済み」「申込検討中」「来店済み」「休眠」といった顧客の状態に応じて、一人ひとりに合わせたコミュニケーションを実現できます。
代表的な施策
- アンケート・診断コンテンツ:回答内容から顧客の興味・ニーズ・検討状況を把握する
- タグ・属性管理:購入履歴や興味関心、行動履歴などをもとに顧客情報を整理・管理する
- 友だち追加経路の把握:広告や店舗、Webサイトなど、どこから友だち追加したのかを把握する
- LINEログイン・ID連携:LINEユーザーIDと自社の顧客データをひも付け、購買履歴や会員情報を活用
③データを活用して、必要な人に必要な情報を届ける
顧客の状態を把握したら、そのデータをコミュニケーションに活かします。
代表的な施策
- セグメント配信:属性や購入履歴、興味関心に応じて、届ける相手を絞って配信する
- ステップ配信・シナリオ配信:友だち追加や購入、予約などをきっかけに、自動で最適な情報を届ける
- カゴ落ち・閲覧落ち配信:商品を閲覧・カート投入したユーザーへリマインドを送り、購入を後押しする
- 再入荷通知・入荷案内:興味を示した商品が再入荷したタイミングで通知し、購買機会を逃さない
- クーポン・リマインド配信:顧客の状態やタイミングに応じて特典やお知らせを配信し、来店・購入・予約などの行動を促す
- リッチメニューの出し分け:顧客の属性や状態に応じて表示内容を切り替え、最適な導線を提供する
LINE CRMで重要なのは、顧客データを活用し、「誰に、いつ、何を届けるか」を設計することです。顧客の状態や興味・関心に合わせて届ける情報を変えることで、一人ひとりに適したコミュニケーションを実現できます。
例えば、未購入者には初回購入を後押しするクーポンを、申込を検討している人には事例やFAQを、購入後の顧客には使い方や関連商品の情報を届けるなど、顧客の状況に応じてコミュニケーションを出し分けます。
また、カゴ落ちや休眠など次のアクションにつながっていない顧客には、再検討や再来店のきっかけとなる情報を届けることもできます。
④成果につなげる:初回購入・申込・来店・リピート・LTV向上
LINE CRMの最終的な目的は、顧客との関係を深め、事業成果につなげることです。
そのためには、企業が伝えたい情報を一方的に届けるのではなく、顧客一人ひとりの状況やニーズに合わせたコミュニケーションを行い、より良い顧客体験を提供することが重要です。顧客にとって価値のある情報を、必要なタイミングで届けることで、購入や申込、来店といった行動につながりやすくなります。
このようなコミュニケーションを継続することで、顧客との信頼関係が深まり、初回購入や申込だけでなく、リピート購入や再来店、LTV向上といった長期的な成果にもつながります。
代表的な施策
- リピート促進施策:購入後のフォローや定期的な情報配信で、継続利用や再購入を促す
- 休眠顧客の掘り起こし:一定期間利用のない顧客に合わせた配信で、再来店・再購入を促す
- クロスセル・アップセル:購入履歴や興味に応じて関連商品や上位プランを提案する
- ロイヤル顧客向け施策:会員ランクや利用状況に応じた特典や限定情報を提供し、LTV向上につなげる
LINE CRMを導入する3つの方法
LINE公式アカウントの標準機能で始める
まずはLINE公式アカウントの標準機能を使って、友だち追加やメッセージ配信、クーポン配布、チャット対応などから始める方法です。
追加の費用をかけずに始められるため、コストを抑えて手軽に始めたい場合に向いています。一方で、細かなセグメント配信や自動化、外部データとの連携には限界があります。

拡張ツール(LINEマーケティングツール)を導入する
LINE公式アカウントと連携できる拡張ツールを使うことで、開発不要でLINE公式アカウントの機能を拡張できます。セグメント配信、シナリオ配信、顧客管理、分析などをより柔軟に行えるようになります。
たとえば、アンケート回答や配信反応に応じてタグを付与したり、顧客に合わせてセグメント配信を行ったりすることができます。
一方で、拡張ツールの利用には別途費用がかかります。また、利用できる機能はツールによって異なるため、自社で実現したい施策に合わせて適切なツールを選ぶことが重要です。
標準機能では難しい施策にも取り組みたい企業にとって、拡張ツールは有力な選択肢です。

また、こうした拡張ツールに近い選択肢として、2026年6月にLINEヤフー公式の「CRMオプション」が提供開始されました。開発不要・月額制でLINE公式アカウント上から利用できる機能です(スタンダードプランは月額5,000円〜/税別、友だち数が10万人未満のアカウントが対象)。公式の機能だけで顧客管理やセグメント配信を始めたい場合の選択肢になります。
- 顧客情報の一元管理(ユーザーリスト)
- アンケート(フォーム)
- 属性・タグによるセグメント配信
- 配信の自動化(オートメーション)
ID連携を活用する
LINEのID連携(LINEアカウント連携)とは、自社が保有する会員ID/顧客IDなどの「自社の識別子」と、LINEのユーザー識別子(LINE ユーザーID)を、ユーザー本人の同意のもと紐づけることです。
CRM本来の目的は、顧客一人ひとりとの関係を継続的に築き、LTV(顧客生涯価値)を高めることです。そのためには、「誰が」「いつ」「何を購入・利用したのか」を継続的に把握し、一人ひとりの状況に合わせたコミュニケーションを行うことが欠かせません。
LINE拡張ツールを活用すると、友だち追加経路やメッセージの開封・クリック、アンケート回答、診断結果など、LINE上で取得したさまざまなデータを活用できます。
しかし、これらは取得した時点の情報です。顧客の状況は購入・来店・契約・解約などによって日々変化するため、時間の経過とともに実際の状態とのズレが生まれます。
また、LINE上で取得したデータだけでは、自社サービスにおける購入履歴や利用履歴、会員ランク、契約状況などの顧客データを活用することはできません。
一方、ID連携を行うと、LINEの友だちと自社の会員IDを1対1でひもづけることで、購入履歴や利用履歴、会員ランク、契約状況など、常に更新される自社の顧客データをLINE上で活用できるようになります。
また、購入や申込、会員情報の更新などをきっかけとしたメッセージ配信やリッチメニューの切り替えなども自動化できます。

このように、LINE上で取得したデータを活用したコミュニケーションに加え、自社の顧客データを活用した継続的なCRMを実現するには、ID連携が欠かせません。
LINEのID連携は本格的なLINE CRMを実現するための基盤といえます。
自社の会員基盤やEC、予約システムなどの顧客データを活用し、LINE上でより精度の高いコミュニケーションを行いたい企業に向いています。
LINE CRMの活用事例
実際にLINE CRMで成果をあげている企業の事例を紹介します。
【プロテイン・EC】グロング|購入回数・購入履歴・会員ランクを活用したLINE CRM
成果:年間LTV15%増、カゴ落ちリマインド経由の購入率約25%
- 会員登録ページや購入後のサンクスページにLINEログインを設置し、買い物の流れのなかで自然にID連携。セール時の「ID連携クーポン」訴求では1週間で400人以上が連携したことも。
- ID連携でShopify上の購入回数・購入履歴・会員ランクなどをLINEとひも付け、「未購入」「休眠」といった状態や好みを把握。
- 「ROAS400%未満の配信はしない」方針のもと、未購入者には選び方コラムとトライアルクーポン、カゴ落ち・閲覧離脱にはリマインド、過去の購買データに応じた新商品案内、と一人ひとりに出し分け。
- その結果、ID連携ユーザーの年間LTVが15%増、カゴ落ち・チェックアウトリマインド経由の購入率は約25%に。
【食品・小売】PAPABUBBLE|会員ランクと店舗・ECの購買データを活用したLINE CRM
成果:ROAS1500%
- 日本上陸20周年を機にメンバーシップを刷新し、会員証を導入。
- 会員ランクと店舗・ECの購買データを一元管理し、「どのランクか」「どのくらい利用しているか」を把握。
- ランクアップやノベルティ交換を自動で案内し、クーポンも「次の利用のきっかけ」に10%OFF・日頃の感謝に20%OFFと段階的に出し分け。特典交換で来店したお客様には季節商品もあわせて案内。
- 会員ランク×LINE配信の施策でROAS1500%を記録。
【ワイン販売・小売】wine@|店舗・ECの購買データを活用したLINE CRM
成果:ID連携率85%超、開封率50%超
- 店頭のQRコードからワイン診断へ誘導し、結果を見る前にLINEログインで会員登録(ID連携)する体験を設計。インセンティブなしでID連携が進む。
- 店舗とECの購買履歴を一元管理し、「実際に買っているか」「店舗派かEC派か」「ワインの習熟度」で顧客を把握。
- 来店2回以上の方には店舗イベントの先行案内、ロイヤル顧客候補にはおすすめ配信、と購買データに応じてパーソナライズ。
- 先行案内が1時間で完売することもあり、ID連携率85%超・開封率50%超を実現。
【アパレル・EC】マドラス|LINE会員証を起点に店舗・ECを横断したLINE CRM
成果:CVR2倍、友だち数6.6倍
- 店舗・ECの双方でLINEログインによる会員登録・友だち追加を一度に完結できる導線を整備。普段デジタルに触れにくい“店舗派”の顧客にもLINEなら自然にリーチ。
- ID連携で得た顧客インサイトをもとに、LINEを「顧客理解の起点」と位置づけて購買・行動データから顧客を把握。
- その顧客理解をもとに、「買いたい瞬間」に応える配信やリッチメニューを設計し、必要な情報を必要なタイミングで届ける。
- ID連携ユーザーのアクティブ率は未連携の1.3倍、リッチメニュー経由のCVRはEC全体の2倍、LINEからの流入率はメルマガの約8倍、導入から3年で友だち数6.6倍に。
【人材・求人サイト】女の転職type|求人閲覧・応募履歴を活用したLINE CRM
成果:LINE経由の応募数が2年で約7倍、友だちの8割以上がLINEログイン経由
- 新規会員登録時にLINEログインを設置し、友だち追加とID連携を同時に実現。友だちの8割以上をLINEログイン経由で獲得。
- 求人の閲覧履歴や応募履歴などの行動データをLINEアカウントとひも付け、転職活動中のユーザーの状況を把握。
- 閲覧した求人に応じたレコメンドや応募途中のリマインド、友だち追加直後の人気求人ランキングなど、行動に合わせて配信。
- LINE経由の応募数が2年間で7倍に伸長。行動データを活用した配信により、応募につながるコミュニケーションを実現。


まとめ
LINE CRMでは、友だち追加や配信などの施策を個別に実施するだけでなく、それらを顧客との継続的な関係づくりにつなげることが大切です。
友だち追加から顧客理解、データ活用、コミュニケーションまでを一連の取り組みとして設計・改善していくことで、LINEをCRMチャネルとしてより効果的に活用できます。
ソーシャルPLUSでは、LINEログインによるID連携をはじめ、友だち追加の促進、顧客データを活用したセグメント配信、LINE CRMの戦略設計から運用までをトータルで支援しています。LINE CRMの導入・改善をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
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