「コロナ禍を経て、オンラインで接点を持ち続けるのが一層大変になった」
「メールBOXを見る習慣がない人も多く、より身近なLINEで求職者のサポートを行いたい」
などの理由から、人材業界でのLINE活用がますます広まってきています。
本記事では、LINE公式アカウントで繋がった求職者ひとりひとりに最適な情報を案内し、応募率を上げるためのアイデアを、医療介護求人サイト「ジョブメドレー」と逆求人型就活サービス「dodaキャンパス」の事例をまじえて紹介します。
人材紹介・求人サイトでのLINE公式アカウント活用のポイント
「電話は場所や時間を選ぶし、メールはこまめにチェックする習慣がなくて気づくのが遅くなってしまう」という求職者の課題解決として注目されているLINE公式アカウント。本格的な活用を行っている人材紹介・求人サイトも増えてきました。
「ジョブメドレー」では、LINE公式アカウントをコミュニケーションツールとして活用し始めてから、LINE経由のお問い合わせは右肩上がりに増加しています。増加した要因としては、求職者の希望に寄り添った配信とID連携の促進が影響しているのではないかと考えています。
ジョブメドレー様コメントより引用:https://www.socialplus.jp/case/job-medley
弊社ソーシャルPLUSがお客様の支援をする中でよくお伝えしている、人材紹介・求人サイトならではのLINE公式アカウント活用のポイントを紹介します。
求職中の方に友だち追加していただくための導線の工夫
LINE公式アカウントでコミュニケーションをとるためには、まず友だち追加していただく必要があります。求職中の方がLINE公式アカウントの存在に気づき、同時に友だち追加することで得られるメリットも知れるような工夫をしましょう。
【ジョブメドレー様事例】サイト内でLINEを案内
求職者の方がよく目にするサイトTOPやマイページなどで、友だち追加すると何ができるのか?を伝えると効果的です。医療介護求人・転職サイト「ジョブメドレー」では、サイトTOPで「LINEでもお問い合わせOK!」と案内しています。
【女の転職type様事例】新規会員登録フォームでLINEログインを訴求
正社員で長く働きたい女性のための転職サイト「女の転職type」では、新規会員登録フォームの最上部で「LINEで登録」を訴求しています。会員登録の流れで自然に友だち追加もされるため、友だち数が一昨年比で約2倍に増え、LINE公式アカウントの友だちの8割以上がLINEログイン経由での登録者となりました。
新規会員登録のタイミングで気づいていただきやすいよう、会員登録ページの上部に「転職に役立つコンテンツや求人情報が届きます」という案内を添えて、LINEログインボタンを設置しています。
LINE経由の応募数が2年で7倍に伸長!行動データに即したメッセージ配信で成果を上げる「女の転職type」
友だち以外にも配信できるLINE通知メッセージを活用
セミナーなどのイベント登録時に記入いただいた電話番号を使って、リマインド通知をLINE通知メッセージで配信し、通知メッセージをきっかけに友だち追加いただくという事例もあります。
「LINE通知メッセージ」とは、電話番号ベースでマッチングし、友だち以外にも配信できる機能です。配信費用も1通1円〜と通常のLINEメッセージに比べて安価で、ユーザーの利便性向上や友だち追加のきっかけの一つとして、導入企業が増えています。
求職者の希望に合った求人情報をLINEで配信するための設計
「人材紹介・求人サイト × LINE公式アカウント」の難しさとして、配信するメッセージの内容をパーソナライズする重要性の高さが挙げられます。例えば食品ECサイトと連携活用しているLINE公式アカウントでは、どの商品の紹介を送っても「自分には全く関係ない情報だ」と受け取られる可能性は低いですが、人材系で自分の希望条件とはかけ離れた求人情報が送られてくると「なんでこんな関係ない情報送ってくるんだ」と感じてしまうでしょう。
仕事内容や勤務地、給与、福利厚生など、希望職種への条件は人によって様々。さらに、求人サイトというサービスの特性上、ユーザーが情報共有を希望しているのは主に「求職期間中」です。転職意向がない時にまで求人情報を配信し続けているとブロックされてしまいますし、配信通数が増えるほどLINEのメッセージ配信費用(従量課金分)もかかってしまいます。
しかし、ただ友だち追加してもらっただけの状態では、「どの友だちが、どの会員なのか」「どの友だちが、どんな条件を希望しているのか」を特定できないので、セグメント配信もできません。セグメント配信を行う方法は、大きく分けて2つあります。
- LINE公式アカウントの友だち追加後に、LINE上でアンケートを実施し、回答結果に合わせてセグメント配信を行う
- サイトの会員IDとLINEのIDを連携し、会員データを使ってセグメント配信を行う
LINE公式アカウントの友だち追加後に、LINE上でアンケートを実施し、回答結果に合わせてセグメント配信を行う方法
1つ目の方法は、LINE公式アカウントの友だち追加後にLINE上でアンケートを実施し、回答結果に合わせてセグメント配信を行う方法です。
LINE公式アカウントにも「アンケート」機能はありますが、現時点では回答内容と回答者の紐付けはできません。(下記ページ参照)
アンケートの回答結果を元にメッセージ配信したい場合は、LINE公式アカウントの機能拡張ツールを導入する必要があります。
ツール導入の際は、アンケート回答で入力されたデータの格納先にも留意することをおすすめします。ツール側のデータベースにしかデータが入らない(会員登録データと連携できていない)仕組みになっていると、定期的にアンケートをとらないとデータが更新されませんし、ツール解約時のデータエクスポートなども必要になります。
サイトの会員IDとLINEのIDを連携し、会員データを使ってセグメント配信を行う方法
2つ目の方法は、サイトの会員IDとLINEのIDを連携し、会員データを使ってLINE配信を行う方法です。LINEのID連携で「どの会員がどの友だちか」を特定できていることで、会員登録時やサイト利用時に取得したデータを元に、希望の条件に合った求人情報などをセグメント配信できます。
LINEのID連携の促進方法としてよく見かけるのは下記手順ですが、ユーザー目線では少々手間がかかることから、なかなか連携数が伸びないケースも多いです。
- まずは友だち追加してもらう
- LINE公式アカウントのリッチメニューに「LINEのID連携はこちら」導線を設置
- 個別のID・パスワードでサイトへ会員登録・ログイン
- ログイン後、マイページからLINEのID連携
また、ユーザー目線で「LINE連携するメリットがあるか」ももちろん重要です。
◆人材・求人サイトで、LINEのID連携をすることで提供できるメリットの例
- 個人の希望条件に合った求人情報を、LINEでも受け取れる(スムーズに情報収集・応募ができる)
- LINEログインを使ったID連携の場合、再ログインがLINEログインで簡単になる(個別のID・パスワードを覚えておかなくてもよい)
【女の転職type様事例】行動データに即したメッセージ配信強化で、LINE経由応募数が7倍に
「女の転職type」では、ID連携を活かし、サイト上で行動しているアクティブな会員様へのLINE配信の種類と量を増やした結果、LINE経由の応募が7倍に増加しました。
閲覧した求人に関するレコメンド配信など、何かしらサイト上で行動した方へのメッセージ配信は、やはり応募に繋がりやすい傾向にあります。
とはいえ、求人詳細ページの閲覧や応募をきっかけにしたメッセージ配信だけ行っていると、会員登録いただいた後すぐに行動していない方には何も情報をお届けできません。
そこで、半年ほど前(2022年末)から、友だち期間が短い方に向けた「人気求人ランキング」の配信を試験的に始めました。開封率は60%前後を保てており、応募にも繋がっていることから、今年2月頃からは毎週配信するようにしています。
LINE経由の応募数が2年で7倍に伸長!行動データに即したメッセージ配信で成果を上げる「女の転職type」
【ジョブメドレー様事例】一斉配信は行わず、LINE配信をパーソナライズ
「ジョブメドレー」では、サイトの会員登録導線にLINEログインを導入し、サイトへの会員登録という求職者の温度感の高いタイミングでLINEのID連携まで終えることで、その後のパーソナライズLINE配信や、配信したメッセージへの返信・問い合わせにもそのままLINE上で対応など、LINEを通じた便利なサポートに繋げています。
ジョブメドレーのLINE公式アカウントでプッシュ配信しているメッセージは、登録条件に基づいてパーソナライズされたメッセージのみです。全ての友だちを対象にした一斉配信は行っていません。
ジョブメドレーは、高校卒業したての20歳前後から60代以上のシニア層まで幅広く活用いただいており、医療から介護、保育など、専門性の高い職種に従事されているため、一人ひとり求めている情報は違います。
LINEはパーソナルで身近なプラットフォームだということもあり、お届けするメッセージがユーザーにとって役に立つ情報になりえるかということにこだわって運用しています。
ジョブメドレー様コメントより引用:https://www.socialplus.jp/case/job-medley
リッチメニューからの導線をわかりやすく
配信されたメッセージをきっかけに目にしやすいリッチメニューも重要です。求職中の方がアクセスしたい情報にすぐ辿り着けるよう、コンテンツを配置しましょう。
新卒向けの逆求人型就活サービス「dodaキャンパス」のリッチメニューは、タブ型で「会員の方」と「会員登録がまだの方」それぞれに向けたコンテンツを配置しています。
会員登録済みの方は「キャリアノートの更新」や「オファーチェック」などをLINEから簡単に行えます。また、会員登録がまだの方に向けても、会員登録のメリットを知れたり、就活イベントなどの情報にアクセスしやすくなっていたりします。
「キャリアノートの更新」や「オファーチェック」にはログインが必要ですが、dodaキャンパスはLINEログインも導入しているので、LINEからのログインも簡単にできます。
昨今、メルマガでの通知に気づいていただけないケースが増えてきており、企業・学生両者にとっての機会損失に繋がっているという課題感がありました。ログイン時の「ID・パスワードが分からない」というストレスが無くなるよう、LINEログインを導入しました。
https://www.socialplus.jp/newsrelease/20210415
まとめ
人材紹介・求人サイトでのLINE公式アカウント活用は、求職者一人一人のニーズに合ったメッセージ配信と、リッチメニューからのアクセス導線のわかりやすさが重要です。
ソーシャルPLUSでは人材業界でのLINE活用支援実績も多数あります。ぜひお気軽にご相談ください!
お問い合わせはこちら:https://www.socialplus.jp/inquiry