LINEの法人向けアカウントは「企業と顧客の長期的な関係構築を目的にしたソリューション」という明確な位置づけをもって、アカウントの統合や提供機能の統一化、拡充が進んでいます。
これらを踏まえて、今後、企業はどのようにLINE公式アカウントを運用していけばいいのでしょうか?アカウント統合後のメッセージ配信における従量課金の料金プランなどをふまえると、従来の一斉配信によるコミュニケーションでは限界があります。
今後はますます、ユーザー一人ひとりに最適なコミュニケーションを行いながら、1通1通のメッセージの価値を高めていくことが重要となってきます。そしてその鍵となるのが、Messaging APIの活用です。
今回は、LINEログイン、Messaging APIの活用事例を交えながら、LINE公式アカウントを軸に長期的なOne to Oneコミュニケーションを構築するヒントを紹介したいと思います。
メッセージの価値を高めるために
LINEログインの活用で親和性の高いユーザーとつながる
企業からユーザーへの一方的なメッセージは、ユーザー視点、企業視点いずれにおいてもデメリットしかありません。
今後のアカウント運用で重要なことは、自社のビジネスやサービスに興味関心が高いユーザーとの継続的なコミュニケーション、例えば、自社のECサイトに度々訪問してくれるユーザーや自社サービスの会員ユーザー、今後、興味をもってくれるであろうユーザーとLINEアカウントを軸につながり、継続的なコミュニケーションを行うことです。その点でLINEログインの活用は非常に有効です。
LINEログインと自動友だち追加機能を活用することで、ユーザーが会員登録やログインをするフローの中で企業が運営するLINEアカウントへ自動で友だち追加することができるため、自社のビジネスやサービスに興味関心が高い友だちを自然と増やすことができます。
自社保有データとの連携でユーザーの属性にあわせたメッセージの配信
ユーザー毎に最適なコミュニケーションを行うには、ユーザーの属性や趣味・志向にあわせたパーソナライズなメッセージ配信(属性取得配信)が不可欠です。
LINE上で取得したユーザー属性や、自社の保有するデータ(顧客DB、商品DB)との連携によるパーソナライズなメッセージ配信(属性取得配信)の活用を検討しましょう。
ユーザー属性ごとのメッセージ配信に重要となる機能として、二つの機能が挙げられます。一つはLINEアカウントの情報を取得し、会員情報と紐づけること(ID連携)ができる「LINEログイン」、そしてもう一つは、ID連携後の属性情報をもとに最適化されたメッセージ配信ができる「Messaging API」です。
LINEログインとProfile+で、LINEアカウント情報の取得とID連携を実現
LINEでより詳細なセグメント配信を可能にする条件として以下の2つをクリアする必要があります。
- 友だち追加されている(ブロックされていない)
- ID連携が完了している
LINEログインを導入することで、会員登録のフローの中で、企業が運営するLINE公式アカウントへ自動で友だち追加することに加え、ユーザーの会員IDとLINEアカウントを連携することができます。
さらに、LINE Profile+では、LINEアカウントに登録済の個人情報をフィルインできるため、フォーム入力のハードルを下げながら、氏名、性別、誕生日、電話番号、メールアドレス、住所などのユーザー情報を取得することができます。※LINE社の審査が必要となります。
つまり、LINEログインとProfile+の活用で、ユーザー一人ひとりにあわせたメッセージの出し分けを可能にするためのLINEアカウント情報の取得、友だち追加、お客様の会員IDとLINEアカウントとの連携を会員登録のフローの中で実現することができるのです。
メガネスーパー様の事例では、自社WebサイトへのLINEログインと自動友だち追加機能の導入で、有効友だち数を約16倍にまで増やすことに成功しました。
LINEログインは、ユーザーの利便性を高めながら、ユーザーが自社WebサイトにLINEログインをすると同時に自動で友だち追加が可能で、なおかつ、お客様の会員IDとLINEアカウントとの連携までをスムーズに行うことができます。そのため、LINE公式アカウントの友だち数を自然に増やすことが可能なのです。
Messaging APIで属性情報をもとに最適化されたメッセージ配信
Messaging APIとは、LINEのアカウントを通じてユーザーとの双方向コミュニケーションを実現するAPI(Application Programming Interface)で、LINEのトーク画面を使った特定のユーザーに限定した双方向のコミュニケーションが可能となります。
Messaging APIの活用で、LINEのトーク上で取得したデータや企業の保有するデータを活用し、ユーザーを特定した配信が可能になるため、ユーザーごとの最適なコミュニケーションには必須の機能といえるでしょう。
具体的には、ユーザーの行動や属性にあわせ、以下のようなメッセージ配信ができるようになります。
- 購買履歴に応じたレコメンド配信やカゴ落ち商品に関するリマインドの送信
- お気に入り商品の在庫やお値下げ通知
- 注文や申込完了通知
- ポイント残高通知
- 会員属性にあわせたクーポンの配布
例えば株式会社NTTぷらら様の事例では、LINEログインの導入で、会員の「ID連携」と「友だち追加」を促進し、LINEを活用したメッセージのセグメント配信を行っています。
商品の特価情報、「ほしいものリスト」に登録されている商品の値下げや再入荷のお知らせ、ポイント残高の通知など会員一人ひとりに合わせたタイムリーなお知らせをLINEで配信しています。
LINE Front-end Framework(以下 LIFF)でLINEのトーク内で取得した情報をシームレスにメッセージに連携
LIFFは、Messaging APIの機能の一つで、LINEアプリのトークルーム内で動作するウェブアプリの実装を可能にするプラットフォームです。
LIFFに登録したウェブアプリをLINEのトークルーム内で起動すると、LINEのユーザーIDやLIFF APIを利用するためのトークンなどをLINEプラットフォームから取得できます。これらを利用することで、LINEユーザーのアカウント情報を活用した様々な機能の提供や取得したユーザーIDによってメッセージのセグメント配信に活用できます。
従来、LINEのトーク内のリンクからユーザーWebぺージへ遷移し、注文情報などの顧客情報を入力していたケースでも、LIFFの活用でLINEのトーク内で顧客情報の入力や注文情報を送信し、フォームに入力した情報をメッセージに連携させることが可能です。
クイックリプライ(Quick Reply)でユーザーの離脱を防止し、必要な情報をスムーズに取得
Quick Replyは、特定のメッセージに対して最大13個のアクションを「クイックリプライボタン」として表示させることが可能な「Messaging API」機能の一つです。
ユーザーはボタンをタップするだけで、届いたメッセージに簡単に返信することができるため、ユーザーの離脱を防止し、必要な情報をスムーズに取得することができます。
また、ユーザーに予め指定した文言での返信を促すことで、botでの対応やキーワード返信に繋げやすいというメリットもあります。
ユーザーを惹きつけるコンテンツ
ユーザーを惹きつけるコンテンツの活用という点においても、Messaging APIの活用は有効です。
Messaging APIを活用することでリッチ、かつ操作性の高いコンテンツを配信することが可能です。
Flex Messageの活用でリッチかつ操作性の高いコンテンツを提供
Flex Messageは、複数の要素を組み合わせてHTMLに近い感覚でレイアウトを自由にカスタマイズできる、Messaging APIの機能の一つです。
柔軟に文字のサイズや色を変更したり、メッセージの途中やヘッダー部分に任意の画像やボタンを組み込むなどのレイアウトも可能です。また、カルーセル形式でのメッセージの表示も可能です。
以下のサンプル画像にあるように、極めて自由な感覚でのレイアウトによりメッセージのUI・UXを大幅に改善し、操作性・デザイン性に優れたコンテンツの配信が可能になります。
さいごに
「企業と顧客の長期的な関係構築を目的にしたソリューション」としてLINEの法人向けアカウントの運営には、LINEログインとMessaging APIの活用がカギとなります。
LINEアカウント統合により、LINEの企業アカウント作成のハードルが下がり、簡単にMessaging APIなどの各種機能を試せるようになったこの機会にアカウント運用の見直しをしてみてはいかがでしょうか?ぜひ下記記事も併せてご参照ください。
LINE社のTechnology Partner(※)である弊社では、ソーシャルログインサービス「ソーシャルPLUS」を提供する中で、LINEログインによるID連携や自動友だち追加の導入など、LINEのAPIと連携した技術開発やサービス提供を行っております。LINEを活用した企業のOne to Oneコミュニケーションに関して不明な点などお気軽にお問合せください。
- お問い合わせはこちら:https://www.socialplus.jp/inquiry