- LINE公式アカウントを運用しているものの、何を指標とすればいいのかわからない…
- メッセージ配信を続けているけど、具体的な成果につながっているのかよくわからない…
といったお悩みをお持ちではありませんか?
LINE公式アカウント運用の成果を評価する上で、友だち数やブロック率、メッセージの開封率など、LINE Official Account Manager(LOAM)上で確認できる数字を日々チェックされている方は多いかと思います。
一方で、LINE公式アカウント上で行った施策に関する数字のみを見ていると、その先にあるCV数や売上といった実際のビジネスへのインパクトが見えづらく、施策が頭打ちになってしまうことも。
本記事では、LINE公式アカウントの活用フェーズに応じて、最終的なゴールとしてLINE経由の売上を向上していくためのKPI設計のポイントを事例を交えつつご紹介します。
LINE公式アカウントの成長度や目的に応じて、KPIは変化していくもの
前提として、KPIはLINE公式アカウントの活用フェーズごとに設計を変えていくことをおすすめします。
たとえば、LINE公式アカウントの立ち上げフェーズでは、まず友だち数を増やさなければ何も始まりません。
とはいえ友だちの数だけを集め続けていても、集めた友だちに何らかのアクションをとってもらい、具体的なCVや売上に繋がっていかなければ意味がありません。
LINE公式アカウントを活用する目的は何か。その目的を果たすためには何が必要か。どんな目標数字を達成することでそれが実現できるか。全体像と最終的なゴール(KGI)を明確にした上で、現時点で最も達成すべき目標を逆算的に定め、KPIとして設定していくことが大切です。
そうすることで、短期的には効果がありそうな目先の目標にとらわれて、結果的にKGIが達成できなかった…という事態を避けることができます。
活用・運用フェーズ別のKPI指標例
LINE公式アカウントのKPI設計の例として、活用フェーズごとの指標の全体像を図にまとめました。
活用フェーズごとに目指すゴールを設定し、活用フェーズの変化に合わせて重視する指標も変えて運用していくイメージです。
ここで提示しているゴールや指標はあくまで例ですので、実際にKPIを設定する際は、自社のビジネスモデルやKGIに合わせて内容を調整いただくことをおすすめします。
立ち上げフェーズ:まずは友だち数を増やし、LINE上で継続的な接点を持ちましょう
まずは友だちがいなければ始まりません。自社のターゲットとなるユーザーに友だち追加してもらうための施策からスタートしましょう。
あわせて、そのユーザーに反応してもらえるようなメッセージを継続的に配信できる状態を目指しましょう。
具体的なKPIとしては、
- 友だち追加数
- ターゲットリーチ数(ブロックされていない友だちの数)
- 毎月のメッセージ配信数(一定の頻度が保てているか)
加えて、個別のメッセージ単位では、
- 開封数/率
- クリック数/率
といった指標をKPIとして設定して、いかにしてこれを達成するかを、日々PDCAを回しながら運用していきましょう。
毎月のメッセージ配信数は利用しているプランによってそもそも配信できる数が決まっているので、現状の予算との兼ね合いも踏まえて現実的なラインに落とし込むと良いです。
軌道に乗ってきたフェーズ:LINE起点でユーザーの興味や関心の度合いを上げて、アクションを増やすことを目指しましょう
LINE公式アカウントがターゲットとなるユーザーとの継続的な接点として機能し始めてからは、ユーザーの興味関心を高め具体的なアクションを取っていただける状態を目指します。
この時に重視するKPIの例としては、以下があります。
- LINE経由のサイト訪問数
- LINE経由のCV数
ユーザーに興味を持っていただけているかどうかは、サイトへの訪問数や実際のCV数で評価します。
また、サイト訪問数とCV数を増やすために必要となる指標として、
- メッセージのクリック数
- リッチメニューのクリック数
- トークからの問い合わせ数
をKPIとして設定し、これらをどう上げるかという視点で施策を推進していきます。
以上のようなKPIは、LOAMの分析レポートのみでは計測できないため、Google Analyticsなど自社で活用している分析ツールを利用して計測していきましょう。
LINE公式アカウントの効果をGoogle Analyticsで計測するための具体的な方法については、こちらの記事も参考にしてみてください。
成長フェーズ:売上とそれに影響する数字を重視し、費用対効果を高めましょう
ここまでくると、より売上へのインパクトを考えるフェーズになります。
LINE公式アカウントからのユーザーのアクションが増えてくると、同時にLINE経由の売上も徐々に増えていきます。
LINE公式アカウントの運用が軌道に乗ってきた頃から考慮しておきたいのが、実際のCV数と共にLINE経由の売上や顧客単価など、LINEを活用した施策がビジネスに与えるインパクトです。
LINE公式アカウントで行ったどの施策が最も売上へのインパクトが大きかったか?をより詳細に見て、大きいものをさらに伸ばすためにはさらに必要となる数字を追っていきます。
- LINE経由の売上、顧客単価
- メッセージの種類ごとのCV数、売上
- セグメントごとのCV数、売上
また、売上をさらに伸ばす上では、メッセージ配信対象の母数として以下の指標も底上げしていく必要があります。
- 友だち数
- ターゲットリーチ数
- ID連携数
LINEのID連携とは、自社サービスのアカウント(会員ID)とユーザーのLINEアカウント(LINE ID)を紐付けることです。
ID連携を行うと、LINE公式アカウントの友だちが自社の顧客データベース上のどの会員なのかを判別できるようになるため、属性や購買履歴などの顧客データを活用したセグメント配信が可能になります。
たとえば、再入荷通知やカゴ落ち配信、過去の閲覧/購入情報に基づいたレコメンド配信など、具体的なニーズに合わせたメッセージを配信する際にID連携が必要になります。
こうしたセグメント配信は、CTRが向上するほか、LINE経由の購入数やCVRの向上、売上の増加にも貢献しやすくなるため、最終的な売上の増加を目指す上で「ID連携数」は重要な指標の一つになっていきます。
友だち数やID連携を伸ばす具体的な方法については、こちらの記事も参考にしてみてください。
また、メッセージの種類やセグメントごとの成果は、Google Analyticsなどで計測しようとすると設定が非常に複雑になってくるので、この段階ではセグメント配信ができる専用のLINE配信・分析ツールを活用するケースもあります。
手前味噌ですが、LINE連携Shopifyアプリ「CRM PLUS on LINE」はダッシュボード機能があり、閲覧・カート落ち商品のリマインドや過去の購入商品に応じたメッセージなど、ID連携を活用したLINEの自動配信に関する指標を中心に費用対効果を可視化できるので非常に便利です。
・CRM PLUS on LINE ダッシュボード機能についてhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000091.000085682.html
KPI設計時に注意したいポイント
ID連携数は、前段階から増やしていきたい指標
冒頭で、KPIは活用フェーズや目的に応じて変化していくものとお伝えしましたが、最終的なゴール(KGI)を見据えた時に、活用の前段階から増やしていくことをおすすめしたい指標があります。それが「ID連携数」です。
なぜなら、ID連携はメッセージ配信の費用対効果を高める段階で必須となる一方で、後になっていきなりその数を増やすことが難しいからです。
ユーザーにID連携をしてもらうには自社サービスの会員登録と友だち追加をしていただいた上でさらにID連携を行っていただく必要があります。
そのためID連携に関してよくある課題として、すでに会員登録や友だち追加をしたユーザーに対して、後からさらにID連携を促そうとすると施策が二度手間になったり、ユーザーにとっても工程が複雑になってしったり、思うようにID連携数が伸びていかない…ということが起こり得ます。
逆に、LINE公式アカウントを活用し始めた段階で、会員登録や友だち追加を促進すると同時にID連携も完了できるような仕組みを用意しておけば、ID連携数を効率的かつ着実に増やしていくことができます。
実際に、最新家電や日用品のECサイト「ひかりTVショッピング」では、「やっておいて良かった!」と感じる施策の一つに、LINE公式アカウントの導入初期からID連携の促進する施策を行ったことを挙げています。
やって良かったということですが、ID連携は顧客属性に応じたアプローチが効果的なので、これを行うための準備として、導入初期からID連携ユーザー限定のクーポン配布キャンペーンなどを行いました。これがID連携率の向上に寄与していたと思っています。
https://blog.socialplus.jp/case/20220525-seminar-report2/#toc8
以上のことから、LINE公式アカウントの立ち上げ当初の段階からその後の成長フェーズを見据えてID連携を増やす仕組みを作っておくことは有効です。連携を増やす仕組みを作っておくことは有効です。
KPIとして、ブロック率は気にするべき?
LINE公式アカウントの指標を考える際によくご質問いただくのが、
「ブロック数って気にするべきですか?」
「ブロック率って平均どれくらいが適正範囲なんですか?」
というもの。この答えは、一概には言えません。
ブロック率を気にするべきか、気にしなくて良いかは、状況次第でまったく異なってくるからです。
たとえば、そもそものビジネスモデルとして特定の一定期間しか使われないサービスの場合。具体的には転職・就活サービスや、子供服ブランドなどです。
こういったサービスやブランドだと、対象となる期間が終われば自然とユーザーは利用をやめ、LINE公式アカウントを友だち追加する必要もなくなるのでブロックしていくものです。
また、ターゲットの母数が大規模になってくると、ブロックされる数を気にするよりも、一定のブロック率は許容しつつ、いかに、これまで接点のなかった多くの人に認知してもらい、ターゲットリーチを増やせるかを重視した方が、結果的にLINE公式アカウント経由の成果へのインパクトが大きくなるケースもあります。
ある程度ブロックされることは承知の上で、スタンプなどで友だちを集める手法などがこれに該当します。
他にも、LINE公式アカウントが成長し、LINE経由の売上がある程度確保できるようになってきたフェーズでは、ブロック率を細かく気にするより、親和性の高いお客様とのエンゲージメントをより高めつつ売上を伸ばすためには何が必要かという視点が大切になります。
このように、前提となるLINE活用において重視する目的、提供している商材やサービス、LINE公式アカウントの活用フェーズによってブロック率の扱い方は異なるので、まずは自社がどんな活用フェーズに立っているのか?を一度振り返ってた上で、ブロック率をKPI指標としてどの程度重視すべきかどうか判断することをおすすめします。
LINE公式アカウントと他チャネルの数字を比較してみる
マーケティング活動においては、LINE公式アカウント以外にもメルマガやSNS、SEO、広告等さまざまな施策を行っている企業が多いと思います。
そこで、他チャネルと比較してLINE公式アカウントはどんな成果を上げていて(逆に弱くて)どんな特徴があるか?という視点で比較しながら、本当に重視すべき指標を見直す、というのも手です。
たとえば、メルマガの代替としてスタートした場合は、まずはメルマガと同等のインパクトを出すところまでを目標としてKPIを設定してもいいですね。
KPI設計事例
実際にLINE公式アカウントを活用している企業がどのような目的でどんなKPIを設定しているか、具体的な事例をご紹介します。
LINE公式アカウントの成長とともにKPIを変えた「ひかりTVショッピング」
記事の冒頭でも軽く触れましたが、最新家電から日用品まで幅広い商品を取り扱う「ひかりTVショッピング」の事例を改めてご紹介します。
「ひかりTVショッピング」では、LINE公式アカウント開設当初はメルマガと同水準のコミュニケーションチャネルを目指し、まずは友だち数を増やすことを目指しました。
さらに顧客ごとに最適なメッセージ配信を行うことを想定し、開設当初からLINEログインを導入することでID連携も推進しています。
友だち数が順調に伸びてからは、「アクティブなお客様に見てもらえる媒体」を目指し、サイト訪問数をKPIとして、興味を持ってもらえる企画作りに注力されています。
“見てもらえるLINE公式アカウント”へと成長した段階で、LINE経由の売上をKPIとし、「お客様に響いたかどうか」もLINE経由の売上で判断されています。
ネット注文の増加を目指し、”LINEから注文”をより便利にするID連携を促進した「銀のさら」
宅配寿司「銀のさら」を展開するライドオンエクスプレス様のデジタルマーケティング部では販促に特化し、いかに新規のお客様を増やすか、中でもどうネット注文を増やしていくかに注力して活動しています。
LINE公式アカウントは、「新たな顧客接点の獲得」と「お客様との新たなコミュニケーションツールとしての活用」、「LINEで便利な機能を提供し、ネット注文を増加につなげる」という大きく3つの目的で運用されています。
この目的のもと、運用開始後は友だち数を増やすことに注力しました。
さらに、LINEのメッセージやリッチメニューから「銀のさら」公式サイトにアクセスすると同時に自動的にログインが完了し、すでに該当の店舗やお届け先が選択された状態で注文ができるスムーズな注文体験(※LINEのオートログイン利用)を実現する上で必須だったID連携の促進を目指しました。
LINE活用開始から約1年が経過すると、LINEからの注文が便利になった結果、LINE経由の売上が毎月伸び続けていきました。
その後は、LINEのID連携が完了していて、セグメントメッセージを配信できる会員数をどう増やすかを目標としています。
* オートログイン:ブラウザ上でのLINEログイン時にLINEアプリと連動することで、メールアドレス/パスワードの入力なしでワンタッチでログインできる機能。
当初からセグメント配信を前提とし、友だち追加数とともにID連携数を重視した「ワールド・ファミリー・クラブ」
幼児向け英語教材ディズニー英語システムのお客様向けに会員制プログラム「ワールド・ファミリー・クラブ」を提供するワールド・ファミリー様では、お客様一人ひとりにあわせた適切なコミュニケーションを行うことで、継続的なご利用につなげることを目的にLINE公式アカウントを活用されています。
LINE公式アカウント運用では、すべてのお客様に一律のコミュニケーションを行うのではなく、会員情報をもとにしたセグメント配信が必須と考え、当初からLINEログインの活用により会員様の友だち追加と共にID連携を促進していきました。
また、ID連携済会員の退会率は非連携会員よりも低いという結果が出たことから、ID連携をベースにしたLINEのセグメント配信が継続率向上に貢献していることがわかりました。
この結果を踏まえた今後の展望として、継続率の観点からもより会員のニーズに応えるコミュニケーションを実現するために、さらなるセグメント配信の強化やリッチメニューのパーソナライズ化を目指しています。
まとめ
LINE公式アカウントのKPIを設計する際のポイントとして、
・KPIは、LINE公式アカウントの成長度や目的に応じて変化していくもの
・最終的なゴールを見据えて、「ID連携数」は初期の段階から増やしていく
・ブロック率は、目的や活用フェーズに応じて扱い方が異なってくる
という点を解説しながら、具体的なKPI設計の例を活用フェーズ別にご紹介してきました。
今回の記事が、自社のLINE公式アカウントではKPIとしてどんな指標を追うべきかを検討していく際の参考になれば幸いです。