開発不要!特定ページに到達したユーザーへのLINEステップ配信をLINE Tagとウェブトラフィックオーディエンスで実現する方法

LINE公式アカウントでユーザーの購買データや行動データを元に、メッセージ配信をしたいという企業のニーズは高まっています。

LINE公式アカウントの活用をサポートする中で、よくご要望をいただくのが、自社のWebサイトの特定ページに訪問したユーザーに対するメッセージ個別自動配信です。

例えば以下のような施策となります。

  • 商品を購入いただいたお客様に、購入1ヶ月後に、限定商品のご案内メッセージを送りたい
  • 会員登録済みで商品購入をしていないお客様に、会員登録1週間後に、クーポンメッセージを送りたい
  • 定期購入商品のトライアル購入期間中のお客様に、トライアル開始後の1週間後に、アンケート回答依頼と継続契約を促進するキャンペーンメッセージを送りたい

これらの配信は、Webサイトにユーザーが訪問したタイミングをトリガーに、ユーザーの興味関心や、購買モチベーションが高いうちにLINEでメッセージを配信するという施策です。

そのため、高いクリック率やコンバージョン率が期待されるとともに、一度設定してしまえば、条件にあったユーザーに自動で配信され、LINE公式アカウント運用の工数を削減できることもメリットです。

こういった施策は、MAツールを導入し、ユーザーの行動データをツール側で独自に取得し、MessagingAPIを使ってLINE公式アカウントで個別配信を行う事例が多いですが、LINE Official Account ManagerのLINE Tagを活用することでWebサイトの行動データに応じた自動配信が可能です。

具体的にはウェブトラフィックオーディエンスとステップ配信を活用すると、上記で記載した事例のような効果的なメッセージを配信することができます。

当記事では具体的な配信事例のご紹介とともにLINE Official Account Manager側の設定方法をご説明いたします。MAツールの導入ハードルが高い企業さまにとっては、テストマーケティング的に利用できる施策となりますので、ぜひご一読ください。

配信事例(実現できるメッセージ施策)と得られる効果(数値)

LINE公式アカウントのウェブトラフィックオーディエンスを起点にしたステップ配信をテストマーケティング的に使っていただいている企業様の事例をご紹介します。こちらの企業はキャンペーン商品を購入された方にLINEのステップ配信で定期購入のメリットやお得な情報を配信しています。

施策概要

▼ステップ配信の起点
・キャンペーン商品購入完了ページ到達オーディエンス
・オーディエンスの有効期限10日 ※10日以内にページに到達したユーザー

▼配信内容
オーディエンス追加より以下のタイミングでステップ配信
・1日後:キャンペーン特典のご案内
・3日後:商品のご紹介
・5日後:会員登録とID連携のご案内
・7日後:限定クーポンプレゼントのご案内
・9日後:商品の到着後利用に関するフォローと定期購入契約キャンペーンのご案内

▼結果
ステップ配信開始前と比較して
・日別新規ID連携数が、約2倍に。
・ID連携成功率(ID連携ボタンを押した数に対してID連携が成功した率)が約10%改善。

こちらの事例では、ID連携済みユーザーオーディエンスを作成し、全てのステップの分岐点に除外の設定を行いました。この設定をすることで、購入完了ページ到達から最後のステップを配信するまでの間にID連携をしてくれたユーザーに以降のステップ配信が送られないようにしています。

LINE公式アカウントの標準機能を利用したステップ配信は費用がかかりませんので、効果が芳しくなければすぐに止めることもできますし、設定を作り直すことも無料でできます。

メッセージ内容や、条件など、途中で変更も可能です。最初はあまり複雑に分岐を分けたシナリオにせず、まずは開始してみて、反応をみながら改善して、最適なメッセージ訴求を見つけましょう。

設定手順について

手順1:目標とシナリオを決める

実現したい大きな目標を元に、ステップ配信のシナリオを決めます。まずはライトな目標を明確に決めて、シナリオもシンプルに決めることをお勧めします。

▼目標例

  • 例1:お試し商品を購入したユーザーのモチベーションが高いうちに、LINEで定期購入のメリットをお伝えし、定期購入数を増やしたい
  • 例2:メッセージ配信効率を高めるために、Webサイトに訪問したユーザーにだけメッセージを分けて送信し、開封率を向上したい
  • 例3:会員登録が完了したユーザーのうち、未ID連携ユーザーにID連携キャンペーンのメッセージを送ってID連携数を増やしたい

数値面で目標を立てたい場合は、コンバージョン数だけでなくステップ配信対象ユーザー数やメッセージの開封数、開封率なども目標にしましょう。

次に誰に対していつどんなメッセージを送るか、メッセージステップのシナリオを作成します。

▼上記目標例1の場合のシナリオ例

ステップ1:
お試し商品の購入サンクスページに到達した2日後に便利な使い方を記載したページのリンクをリッチメッセージで送る

ステップ2:
お試し商品の購入サンクスページに到達した5日後に定期購入のメリットと期間限定キャンペーンのメッセージを送る

前述のシナリオ例で設定したステップの設定方法を次の章から説明していきます。

手順2:友だち追加導線を追加する

特定のページに到達したユーザーのオーディエンス(ウェブトラフィックオーディエンス)を起点にしたステップ配信の開始条件は、オーディエンスの有効期間内に、特定のページに到達していること、および友だち追加されていることが条件になります。

友だちでないユーザーにはそもそもLINE配信ができないため、お試し商品購入時点で友だちでないユーザーに友だち追加してもらえるよう、友だち追加導線を作りましょう。

おすすめは、お試し商品購入後のサンクスページに、友だち追加のメリットと共に、友だち追加ボタンをおく方法です。

これにより、お試し商品購入後のモチベーションの高いタイミングで友だち追加を促すことができます。

お試し商品購入後のサンクスページに友だち追加導線を設置
お試し商品購入後のサンクスページに友だち追加導線を設置

手順3:ウェブトラフィックオーディエンスを作成する

1.LINE Tagを埋める

オーディエンスの対象にしたいページ(シナリオ例ではお試し商品購入後のサンクスページ)にLINE Tagを埋めます。LINE TagはビジネスマージャーでもLINE公式アカウントのものでもいずれでも結構です。

ベースコードを埋めておけばURL指定でウェブトラフィックオーエディエンスを作成できます(詳細は後述)。

ただし、サンクスページのURLがユーザーによって変動する場合など、固定のURLで指定できない場合は、ベースコードに加え、コンバージョンコードまたはイベントコードを埋めます。

LINE Tagの発行方法、設置方法は以下の記事をご参照ください。

2.ウェブトラフィックオーディエンスを作成する

①オーディエンスを作成する

LINE Tagの設置が終わり、LINE Official Account Manager側のトラッキング(LINE Tag)ページにて、LINE Tagのステータスが「利用可能」かつ最終受信が更新されていれば、オーディエンスが作成できる状態です。

LINE Tagのステータスが「利用可能」かつ最終受信が更新されていれば、オーディエンスが作成できる状態
LINE Tagのステータスが「利用可能」かつ最終受信が更新されていれば、オーディエンスが作成できる

特定ページに到達したユーザーのオーディエンスを作成します。今回は、お試し商品の購入サンクスページ到達ユーザーのオーディエンスを例に、作成手順をご案内します。

LINE Official Account Managerの左のサイドバー「データ管理」メニューから「オーディエンス」のページを開きます。過去に一度でもオーディエンスを作成したことがあると、以下のようにオーディエンスリストが表示されますので、右上の緑の「作成」ボタンを押します。

LINE Official Account Manager:オーディエンスの作成
LINE Official Account Manager:オーディエンスの作成

オーディエンス未利用の場合は以下の「オーディエンスを作成」を押します。

LINE Official Account Manager:オーディエンスの作成
LINE Official Account Manager:オーディエンスの作成
②オーディエンスタイプ選択 

ウェブトラフィックオーディエンスを選択します。

LINE Official Account Manager:「ウェブトラフィックオーディエンス」の作成
LINE Official Account Manager:「ウェブトラフィックオーディエンス」の作成
③オーディエンスに対して名前を付ける

このオーディエンスの「名前」は「お試し購入サンクスページ到達_3日」など、わかりやすいオーディエンス名を設定します。

④ターゲットのLINE Tagを選択する

ターゲット設定の「LINE Tag」で、「選択」ボタンをおすと以下の画面になりますので、利用中のLINE Tagが選択できます。Webサイトに設置済みのLINE Tagを選択して保存します。

LINE Official Account Manager:「ウェブトラフィックオーディエンス」の作成
LINE Official Account Manager:「ウェブトラフィックオーディエンス」、LINE Tagの選択
⑤ターゲット、有効期限の設定

 次の画面で、ターゲット、URL条件、有効期限を入力します。

  • ターゲット:「特定ページにアクセスした人」
  • URL条件:サンクスページのURLを入力します。
  • 有効期限:サンクスページに到達したユーザーがオーディエンスに含まれている期間です。直近でサンクスページに到達したユーザーにステップ配信を開始したいので3日で設定してみましょう。

3日で設定すると現在から3日以内にサンクスページに到達したユーザーがオーディエンスに含まれます。4日すぎるとオーディエンスから除外されます。

LINE Official Account Manager:「ウェブトラフィックオーディエンス」、ターゲット、有効期限の設定
LINE Official Account Manager:「ウェブトラフィックオーディエンス」、ターゲット、有効期限の設定

有効期間は、長く設定すると対象ユーザーは増えますので、有効期限を短くしすぎてオーディエンスがなかなかたまらない、という場合は有効期間を伸ばしましょう。一度試しに作ってみて、オーディエンスの人数をみながら作り直してもよいでしょう。

ステップ配信にオーディエンスを利用する場合は、オーディエンスにユーザーが入ってきたタイミングでステップ配信のトリガーが発動して、条件があえばステップ配信が開始されます。

(ウェブトラフィックオーディエンスを利用したステップ配信についてのよくある質問について後述いたします。)

ウェブトラフィックオーディエンスの場合は、作成時はステータスが「準備中」になりますが、しばらくすると「有効」にステータスが変更されます。オーディエンスが有効になるまでには、数時間かかることもありますので、ご注意ください。

手順4:ステップ配信を作成する

ステップ配信の利用を開始します。

①ステップ配信の基本設定をする

基本設定は以下の項目を順番に登録していきます。

  • タイトル:管理用にわかりやすい名前をつけます。
  • 有効期間:ステップ配信の有効期間です。任意で設定が可能です。
  • 配信数の上限:月間のメッセージ配信数を絞りたい場合は、チェックボックスを入れてステップ配信の配信数上限を設定します。今回は設定しないので、チェックボックスは外しておきます。

②開始条件を設定する

次にメッセージ設定をしていきます。まず開始条件にオーディエンスを指定します。

左側のフロー図の「開始条件」をクリックすると右側に編集画面が出てくるので設定をしていきます。

  • 開始条件の種類:「オーディエンス」を選びます。
  • オーディエンス:ペンのマークをおすと、作成済みのオーディエンスが選択できるので、前章で作成した「お試し購入サンクスページ到達_3日」を選択します。
  • 保存:ここを押し忘れる事が多いので、保存ボタンを必ず押して左側のフローの開始条件がオーディエンスが指定されたことを確認しましょう。
LINEステップ配信:開始条件の設定
LINEステップ配信:開始条件の設定

③ステップを追加する

ユーザーが開始条件に一致した後、配信するメッセージを設定していきます。配信したいメッセージに、リッチメッセージやカードタイプメッセージを利用する場合は、あらかじめ作成しておきます。

まず左側のフローの「ステップを追加」を押します。「メッセージを配信」を選択します。

LINEステップ配信:ステップの追加
LINEステップ配信:ステップの追加

※「条件分岐を追加」は、開始条件にマッチしたオーディエンスをさらに条件分岐する設定が可能です。

例えば属性で絞り込みを行って以下のような設定をすると、34歳以下の方にステップ配信が送られ、35歳以上の方にはステップ配信が送られないようにする、といった条件分岐が可能となります。

LINEステップ配信:属性で絞り込み
LINEステップ配信:属性で絞り込み

④メッセージを設定する

配信されるタイミングを設定するには、「メッセージ配信」の上部のフローをおして、日にちを変更します。ここでは購入完了後、2日後に1つ目のメッセージが届くようにしたいので、2日を設定します。

LINEステップ配信:メッセージ設定
LINEステップ配信:メッセージ設定

次に配信するメッセージの設定をします。左側のフロー図から「メッセージ配信」のブロックを押すと、右側に編集画面が表示されますので、順に設定していきます。

  • メッセージラベル:管理用にわかりやすい名前をつけます。
  • 配信時間帯:メッセージが配信される時間帯を選択します。配信時間帯を設定しても、設定された時間内に配信できなかった場合は、翌日の同じ時間に配信されます。配信数が多い場合など、指定された時間にすべてのメッセージを配信できないことがありますので、3時間以上の範囲で設定することをお勧めします。
  • メッセージ内容:あらかじめ作成しておいたリッチメッセージ、カードタイプメッセージを指定することもできます。プレビューをみながら作成しましょう。管理者のみにテスト配信もできますので適宜ご利用ください。
  • 保存:押し忘れて戻ると設定が保存されないので、押し忘れにご注意ください。

2つ目のメッセージについても、同様に設定していきます。

⑤利用開始する

ステップの作成が完了し、配信を開始する準備ができたら、利用開始ボタンを押します。

LINEヤフー社のステップ配信マニュアルでも詳しくご案内していますのでこちらも合わせてご確認下さい。https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/step-message

ステップ配信のレポートを確認する

LINE Official Account Managerの分析>ステップ配信のレポートで確認できるのは以下の項目となります。

  • メッセージ配信数:指定した期間内で送られたメッセージ通数を表示します。
  • ステップ開始ユーザー数:指定した期間内にステップ配信の開始条件となるイベントを発生させたユーザー数を表示します。
  • ステップ完了ユーザー数:一連のステップ配信を最後まで受け取ったユーザー数です。
LINEステップ配信のレポート
LINEステップ配信のレポート

各ステップごとに配信数、アクション到達率、開封数、開封率、クリック数、クリック率も確認できます。

なお、LINE Tagでのコンバージョンは計測されないので、ステップ配信からのコンバージョンなどを計測したい場合は、例えばステップ配信のメッセージのリンクURLにGAのパラメーターを付与して、GAで計測するなどの対応が必要ですのでご注意ください。

詳細はLINEヤフー社のマニュアルをご参照ください。https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/insight-stepmessage

よくある質問

Q.LINE Tagを設置したページに同じユーザーが有効期間内に何度もアクセスするとどうなるの?複数回ステップ配信のメッセージが送られるの?

A.一人のユーザーがLine Tagを設置したページに何度アクセスしても、オーディエンスの中にユーザーが重複して入るということはございません。

ウェブトラフィックオーディエンスの有効期間180日後に同じ該当ページにアクセスした場合は改めてオーディエンスに追加されますが、

この場合でも、一度ステップ配信を受け取ったら、同じステップ配信で設定したメッセージが配信されることはありません。

以下の場合はステップ配信が2回配信されますのでご注意ください。

  • ウェブトラフィックオーディエンスA(特定のページBへのアクセスが条件)を設定
  • 特定のページBにユーザーCがアクセスしステップ配信開始
  • ユーザーCへステップ配信のメッセージが全て送られステップ配信完了
  • ウェブトラフィックオーディエンスA(特定のページBへのアクセスが条件)のオーディエンス複製してオーディエンスDを作成しステップ配信を作成
  • 特定のページBにユーザーCが再度アクセス

Q.ウェブトラフィックオーディエンスの有効期間を3日に設定した場合、10日後のステップ配信は届くの?

A.ステップ配信がすでに開始している友だちユーザーには、ウェブトラフィックオーディエンスの有効期間後でもメッセージが引き続き配信されます。ただし、有効期間後に開始条件に一致した友だちユーザーにはメッセージが配信されません。

Q.想定していた日付にメッセージが届かなかったのはなぜ?

A.以下2つの原因が考えられます。

①ステップ配信開始条件一致後の待ち時間の間にユーザーがブロックしたため

②待ち時間の間でユーザーがブロックしたためシステムのトリガー判定によるもの

仕様上、「実際の友だち追加日」と「システムが友だち追加をしたと判定しステップ配信を開始する日」が異なることがあり、ステップ配信の進行が1日前後ずれることがあります。

最後に

ここまでLINE Official Account Manegerを使ってWebサイト到達ユーザーへのLINE自動配信メッセージの実現方法をご紹介させていただきました。

Webサイト到達ユーザーへのLINE自動配信を、より正確にリアルタイムで行いたい場合は、MAツールの導入は必要となりますが、MAツールを導入するにもコストも時間もかかります。

ご紹介した方法であれば、LINE TagをWebサイトに設置するだけで、開発コスト不要で自動配信を試すことができますので、MAツールを導入する前に、成功パターンを見つけるテストマーケティングとしてお試しいただけたらと思います。

また、以下の記事では、LINE Official Account Managerの機能だけでカゴ落ち配信を実現する方法も紹介しています。

田中恵

株式会社ソーシャルPLUS CSチーム
ソーシャルログイン・ID連携サービス「ソーシャルPLUS」のCS(カスタマーサクセス)として、LINEのIDを活用したマーケティング活動を支援。
これまではコールセンターのアウトソーシング事業、広告代理事業のセールスとして大手通信キャリア、メーカー、金融、不動産などの幅広い業界の、マーケティング領域の提案からカスタマーサポートに従事している。

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