「LINE公式アカウントで配信したメッセージからどれくらいコンバージョンが発生したのか測定したい」
「サイトに訪問した友だちに向けた絞り込み配信で、メッセージからのCVRを高めたい」
…そんな時に活用できるのが「LINE Tag」です。
LINE TagはLINE広告を運用する際に活用されることが多いですが、LINE公式アカウントの効果を高める上でも有効活用できます。
本記事では、LINE公式アカウント運用担当者の方を対象に、LINE Tagの仕組みや活用方法、サイト上の訪問データを用いたセグメント配信(絞り込み配信)への応用まで解説します。
LINE Tagとは?
LINE Tagとは、LINE公式アカウントやLINE広告で実施したプロモーション施策の効果測定ができる機能です。
LINE公式アカウントやLINE広告を経由して実行されたウェブサイト上のアクションの計測が可能になるので、LINEを活用した施策の効果測定や改善に役立てることができます。
LINE Tagでできること
LINE Tagでできることは、大きく分けて2つあります。
1.施策の効果測定 | メッセージや広告を配信した結果、どれくらいサイトに訪問があり、どれくらいコンバージョン(購入や会員登録など)につながったかなど、施策の成果を計測できます。 |
2.オーディエンスの作成 | LINE Tagで取得したユーザーの行動データを元に「オーディエンス」を作成し(ウェブトラフィックオーディエンス)、メッセージの絞り込み配信や広告のターゲティングに活用するなど、施策の最適化を行うことができます。 |
LINE広告を配信している場合、LINE広告の管理画面上で配信効果を計測するためにLINE Tagの設置が必須となります。
LINE公式アカウントのみ運用している場合、LINE Tagの設置は必須ではありませんが、
- LINE公式アカウント管理画面の分析で施策の効果分析を行いたい
- Webサイト上の行動履歴に応じたセグメント配信を行いたい
という場合には、LINE Tagを設置する必要があります。
それぞれの活用シーンについて、次の章で詳しく解説していきます。
活用シーン1:LINE公式アカウントの管理画面上で施策の効果分析を行う
LINE公式アカウント管理画面の分析で、メッセージごとのコンバージョン数などの効果を計測したい場合はLINE Tagの設置が必要です。
LINE公式アカウント含め広告やSNS等の媒体の効果測定に関しては、Google Analyticsなど外部の計測ツールを活用しており、LINE公式アカウントの管理画面上で効果を計測できなくても問題ない、という場合はLINE Tagの設置は必要ありません。
一方、LINE公式アカウントの運用担当者など、実際にメッセージのクリエイティブ作成や配信を行っている方にとっては、LINE公式アカウントの管理画面上でメッセージ内容と照らし合わせながら効果を計測した方が、施策の改善を進めやすい場合もあります。
LINE公式アカウントの効果測定をどの部門がどのように行いたいか?という自社のニーズに合わせて、LINE Tagの設置を検討してみましょう。
活用シーン2:Webサイト上の行動履歴に応じたセグメント配信を行う
友だちが一定数増え、より効率的にメッセージを配信して費用対効果をあげたい場合は、ウェブトラフィックオーディエンスを活用した絞り込み配信が有効です。
例えば、セール特集ページを閲覧した友だちに絞ってセール終了間近のリマインドメッセージを配信したり、商品詳細ページを閲覧した友だちに購入を促す限定クーポンを配信したり、友だちが実際に取った行動に応じた絞り込み配信が可能です。
ウェブトラフィックオーディエンスは、LINE Tagで取得した行動履歴を元にオーディエンスを作成するので、LINE Tagの設置が必要です。
属性や購買履歴など自社が持つ顧客データを元にしたセグメント配信を行う場合には、ユーザーの会員IDとLINEアカウントを紐付けるID連携が必要です。
しかし、LINE Tagを活用することで「まだID連携していない友だち」に対しても、Webサイト上の行動履歴に応じてメッセージを出し分けることが可能になります。
LINE Tagの仕組み
LINE Tagの各コードをWebサイトに設置することで、LINE公式アカウントのメッセージ配信やLINE広告を経由したユーザーのサイト訪問やコンバージョンなどの行動情報がLINE側に送信されます。
これにより、メッセージや広告経由で発生したアクセス数やコンバージョン数などをLINE公式アカウントの管理画面上で計測できるようになります。
LINE Tagは、以下の3種類のコードが用意されています。
ベースコード(必須) | ユーザー行動を計測したいすべてのページに設置が必要なコードです。このコードが設置されていないと、「LINE Tag」が機能しません。 |
コンバージョンコード(任意) | コンバージョンを計測するページに設置するコードです。基本的には、商品購入や資料請求などが完了したあとのサンクスページにベースコードとセットで設置します。 |
カスタムイベントコード(任意) | 特定のページにアクセスしたユーザーについて、イベント(Webサイト上でユーザーが取った行動)ベースでの効果測定やオーディエンスの作成ができます。こちらもベースコードとセットで設置します。 |
参照:LINE広告の効果を計測する「LINE Tag」の使い方|LINE for Business
例えばECサイトの場合、ベースコードはECサイトの全ページに設置し、コンバージョンコードは購入完了ページに設置します。
コンバージョンコードで計測できる会員登録や商品購入などのコンバージョンポイント以外に、複数のコンバージョンポイントを設定したい場合はカスタムイベントコードを設置します。
例えば、「商品詳細ページ」「カートページ」など商品に関心のあるユーザーが閲覧する可能性の高いページに設置します。
LINE公式アカウントからLINE Tagを設置する方法
LINE Tagのコードの取得は、LINE公式アカウントとLINE広告のどちらからでも可能です。
また、LINE Tagの各種コードはLINE公式アカウントとLINE広告で共通の仕様となるので、設置の流れは基本的に同じです。
今回は、LINE公式アカウントの管理画面でLINE Tagを取得・設置する方法を解説します。
手順1:LINE Tagを取得する
データ管理 > トラッキング (LINE Tag) を開き、「LINE Tagの利用を開始する」ボタンをクリックし、トラッキングをオンにします。
LINE広告を運用しており、LINE公式アカウントとLINE広告で相互のデータを利用する場合は、「LINE Tagの共有」で共有設定をオンにしましょう。
手順2:ベースコードとイベントコード(コンバージョンコード)の設置
手順1で開いたトラッキング(LINE Tag)の画面で、ベースコードとイベントコードをそれぞれ取得できます。
ベースコード
ベースコードは、計測したいWebサイトの全ページに設置します。設置箇所はヘッダーコード内で、<head>〜</head>内に直接記述するか、タグマネージャーを利用して設置します。
参考:タグを設置する(ベースコード)|LINEヤフーfor Business
コンバージョンコード
コンバージョンコードは、コンバージョンポイントとするページに設置します。設置箇所はベースコードの直後にします。
タグマネージャーを利用する場合、タグの読み込み順序をベースコードが先になるように設定しておきます。
参考:コンバージョンコードを設置する|LINEヤフーfor Business
手順3:特定のページにカスタムイベントコードを設置(任意)
必要に応じてカスタムイベントコードを設置します。
手順2のコンバージョンコードが表示されているイベントコード欄の「カスタムイベントコード」タブを開きます。
カスタムイベント名には任意のイベント名を設定します。カスタムイベント名は、カスタムイベントコード内の「CustomEvent」部分と、管理画面に表示されるイベント名に反映されます。
例えば、商品詳細ページにカスタムイベントコードを設置する場合、カスタムイベント名に「ViewProducDetails」のようなわかりやすい名前を入力しましょう。
カスタムイベント名が反映されたカスタムイベントコードをコピーし、コンバージョンコードと同様に、ベースコードの直後に設置し、ベースコードが先に読み込まれるようにします。
以上でLINE Tagの設置は完了です。
タグを設置する(カスタムイベントコード)|LINEヤフーfor Business
LINE Tag活用 実践編
ここからは、LINE Tagを活用して「LINE公式アカウント管理画面上で効果測定を行う方法」と「Webサイトの行動データを元に絞り込み配信を行う方法」を具体的に解説していきます。
LINE公式アカウント管理画面上で効果測定を行う方法
コンバージョン数を計測する
分析 > メッセージ配信を開き、表示項目設定でコンバージョンユーザー・コンバージョン率を選択し、「選択した項目を反映」することで、配信したメッセージごとのコンバージョン数・率を確認できます。
カスタムイベント数を計測する
コンバージョンとは別に、カスタムイベントコードを設置したページの閲覧数を計測したい場合は、別途「カスタムコンバージョン」の設定が必要です。
分析 > カスタムコンバージョンを開き、「作成」から新しいカスタムコンバージョンを設定します。
カスタムコンバージョンは、以下内容を設定していきます。
- 「LINE Tag」では、Webサイトに設置しているLINE Tagを選択します。
- コンバージョン名と説明に、任意の内容を入力
- ここで設定した名称が分析の表示項目になるので、わかりやすい名前を設定しましょう。
- 有効期間を設定します。
- 有効期間は1〜90日の間で設定できます。この期間内にメッセージ配信経由で達成されたカスタムイベントをカスタムコンバージョンとして計測します。
- マッチング方法では、URL指定もしくはコンバージョンイベントいずれかの方法を選択します。
- カスタムイベントコードを設置したページの閲覧数を計測したい場合は、基本的にマッチング方法はコンバージョンイベントを選択し、該当のカスタムイベント名を設定しましょう。
- LINE Tagを設置しているページであれば、URLを指定してコンバージョンイベントを設定することもできます。カスタムイベントコードを設置していないページの閲覧についても、カスタムコンバージョンとして計測したい場合は、ここでURLを直接設定することも可能です。
- マッチング方法でコンバージョンイベントを選択した場合、コンバージョンイベント条件では、カスタムコンバージョンとして計測したいカスタムイベントを選択します。
カスタムコンバージョンを活用する際の注意点
カスタムコンバージョンの編集・削除について
カスタムコンバージョンは一度作成すると削除ができず、条件設定の編集もできません。(コンバージョン名と説明は編集可能です)
もし条件設定を変更したい場合は、新たにカスタムコンバージョンを作り直す必要があります。
また、使用しなくなったカスタムコンバージョンは、ステータスの緑丸をクリックし一時停止することが可能です。
カスタムコンバージョンのステータスについて
メッセージ配信経由でカスタムコンバージョンの条件に一致するイベントが発生していない場合、カスタムコンバージョンのステータスは無効になります。
コンバージョンテストを行っても無効ステータスのままになっている場合、カスタムコンバージョンの条件で使用したカスタムイベントコードが正しく設置されていない可能性があります。
ホーム > トラッキングにて、カスタムイベントコードのステータスが「利用可能」になっているか、合わせて確認しましょう。
もし「利用不可」になっている場合、正しくコードが発火していない可能性があるので、コードの設置状況を確認しましょう。
Webサイトの行動データを元に絞り込み配信を行う方法
LINE Tagを設置したWebサイト上の行動(閲覧・コンバージョン等)を元にウェブトラフィックオーディエンスを作成し、絞り込み配信の対象にする方法を解説します。
データ管理 > オーディエンスを開き「作成」ボタンをクリックします。
- オーディエンスタイプでは「ウェブトラフィック」を選択します。
- オーディエンス名は任意の内容を入力します。
- LINE TagではWebサイトに設置したLINE Tagを選択します。
- ターゲットでオーディエンスの条件を設定します。
- ページにアクセスした人:LINE Tagのベースコードを設置したいずれかのページにアクセスした人が対象になります。
- 特定のページにアクセスした人:URL条件の設定で、任意のページにアクセスした人を対象とできます。
なお、URL条件の設定では、AND条件のみ指定できます。OR条件での指定はできません。
いくつかあるページのうち、いずれかのページにアクセスした人を対象としたい場合は、各ページ単体でオーディエンスを作成しておき、絞り込み配信のターゲット設定時に該当するオーディエンスを複数選択する必要があります。 - 特定のイベントを発生させた人:トラッキング(LINE Tag) で設定したコンバージョンイベントもしくはカスタムイベントを選択し、ターゲットを設定できます。選択できるイベントは1種類のみです。
なお、選択したイベントに対してURL条件を加えることも可能です。必要に応じて設定しましょう(参考)
- 有効期間を1〜180日の間で設定します。
- ここで指定した期間内でコンバージョンを発生させたユーザーが対象になります。
この期間を短くすればするほどターゲット数は絞られますが、直近イベントを発生させたユーザーのみに絞られるので、興味関心の鮮度は高まります。
逆に期間を長くするとオーディエンスのサイズが多くなる一方で、「過去に興味を持っていたが現在はあまり興味がない」というユーザーも対象に含まれるため、興味関心度合いが低くなり、絞り込み配信した際の反応率が下がる可能性がある点に注意です。
- ここで指定した期間内でコンバージョンを発生させたユーザーが対象になります。
以上を設定したら保存します。
絞り込み配信を行う際は、メッセージ配信 > メッセージを作成で、配信先を絞り込みに設定し、「オーディエンス・過去の配信」で作成したオーディエンスを追加します。
ウェブトラフィックオーディエンスを活用する際の注意点
ウェブトラフィックオーディエンスをメッセージ配信に使う場合、オーディエンスに含まれる友だちの数(サイズ)が50人以上必要です。
ここで注意したいのが、この50人以上という数字は、自社のLINE公式アカウントの友だちのうち、オーディエンスの条件に合致するアクションを行った友だちのみがカウントされるという点です。
オーディエンスを作成すると、オーディエンス一覧のサイズという項目が表示されます。
ここで表示される数値は、自社のLINE公式アカウントに友だち追加しているかどうかに関わらず、LINEアカウントを持つすべてのユーザーのうち該当するユーザー数が表示されます。
ただし、実際にオーディエンスをメッセージ配信の対象に選択すると、ターゲットの推計が50人未満となる場合があります。この場合、選択したオーディエンスにはメッセージを配信できません。
そのため、今すぐウェブトラフィックオーディエンスを活用する予定がなくても、今後活用する可能性がある場合は、配信に必要な十分なサイズが蓄積されるまでには時間がかかる可能性があるため、早い段階で事前にLINE Tagを設置しておくことをおすすめします。
まとめ
今回は、LINE公式アカウント運用担当者の方を対象に、LINE Tagの仕組みや設定方法をはじめ、具体的な活用方法として、
- LINE公式アカウント管理画面上でコンバージョン数などの効果測定を行う方法
- サイト上の訪問データを用いたセグメント配信(絞り込み配信)を行う方法
についてご紹介しました。
LINE Tagの活用は、LINE公式アカウントの成果を最大化し施策の幅を広げる上で有効ですので、ぜひLINEを通じたコミュニケーション最適化の一つの策として活用してみてください。
また、LINE Tagを活用して実現できることは様々あり、今回ご紹介した内容はその一部となりますので、より踏み込んだ活用方法や具体的な活用事例なども、今後ブログでご紹介していければと思います。