「メールで配信しているメッセージをLINEでも配信したい」
「特定の会員にLINEのメッセージを配信したい」
このように自社の特定のお客様に対してLINEのメッセージを配信したいという相談をいただくことがあります。
LINEログインを活用してLINEのID連携を利用する方法以外にも、LINEヤフーが提供しているデータ基盤である「ビジネスマネージャー」を活用する方法があります。
ビジネスマネージャーを活用することで、自社で保有するユーザーの電話番号、メールアドレスを利用し、特定のユーザーにLINEのメッセージを配信することができます。
この記事では、ビジネスマネージャーを利用したセグメント配信について紹介します。
ビジネスマネージャーを活用したセグメント配信のしくみ
ビジネスマネージャーはLINEヤフー社が提供するデータ管理基盤です。
ビジネスマネージャーを活用することで、下記図のように、LINEヤフーや企業が持つデータなどユーザー許諾取得済みのLINE内外のデータをセキュアに統合・管理し、LINE公式アカウントのメッセージ配信やLINE広告配信に活用することができます。
例えば、クライアントデータ、つまり企業側で保有する配信対象ユーザーの電話番号やメールアドレスをビジネスマネージャーにアップロードしてオーディエンスを作成し、そのオーディエンスを活用してLINE公式アカウントからメッセージを配信することが可能です。
ビジネスマネージャーを活用したLINEセグメント配信のメリット
無料で活用できる
ビジネスマネージャーは無料で利用できるツールです。
APIによるセグメント配信の実装や外部配信ツールを導入しなくても、ビジネスマネージャーとLINE Official Account ManagerをつかってLINEのセグメント配信が可能です。
自社の1stPartyデータをLINEコミュニケーションに活用できる
自社が保有する電話番号やメールアドレスなどのユーザーデータをLINEのメッセージ配信に活用できます。
例えば、「購入済ユーザーの電話番号やメールアドレスをビジネスマネージャーにアップロードしてオーディエンスを作成し、購入済ユーザーのオーディエンスを除外して、LINE公式アカウントでメッセージを配信することで、効率的に初回購入を促す」といった施策も可能です。
ビジネスマネージャーを活用したLINEのセグメント配信の注意点
LINE公式アカウントの友だちでないと配信できない
電話番号やメールアドレスをアップロードしても、そもそも対象ユーザーがLINE公式アカウントの友だちでないとLINEのメッセージは配信されません。
ユーザーがマッチングできないと配信できない
電話番号やメールアドレスなどのユーザーデータとLINEプラットフォームがもつユーザーとが照合され、ユーザーが特定できないと配信対象にはできません。
ビジネスマネージャーを活用してLINEセグメント配信を行う方法
早速、手順を紹介していきます。
ビジネスマネージャーを開設
ビジネスマネージャーを準備します。
これから開設される場合は、以下の記事で手順を紹介していますのでぜひ参考ください。
尚、開設には認証審査が必要になります。
ビジネスマネージャーでオーディエンスを作成
ビジネスマネージャーの準備ができたら、早速、電話番号やメールアドレスをアップロードし、オーディエンスを作成します。
ビジネスマネージャー>オーディエンス>オーディエンスを作成
アップロードするデータファイルは指定の形式で用意します。
また、ハッシュ化されていないデータは自動的にハッシュ化されます。ハッシュ化したデータをアップロードする場合は、SHA-256形式でハッシュ化します。
<メールアドレスアップロードオーディエンスのデータファイル>
- 1行目には項目名ではなくメールアドレスを挿入してください。
- メールアドレスは1行につき1件のみ入力できます。
- メールアドレス(120文字以内)には、半角の英数字、アンダーバー(_)、ハイフン(-)、ピリオド(.)、アットマーク(@)が入力可能です。半角のスペース、カンマ(,)、プラス(+)、その他の特殊記号などは入力できません。
- メールアドレスはハッシュ化されるため、アップロードに時間がかかる場合があります。
- アップロードできるファイルは最大20MB(150万行)までです。
- CSVおよびTXTファイルがサポートされています。
<電話番号アップロードオーディエンスのデータファイル>
- 1行目には項目名ではなく電話番号を挿入してください。
- 電話番号は1行につき1件のみ入力できます。
- 電話番号に利用できる文字は、半角の数字、ハイフン、スペース、丸括弧です。国番号は必要ありません(例:080-1234-5678、080 1234 5678、08012345678)。
- 組織の地域に設定されている国・地域の電話番号のみアップロードできます。
- 電話番号はハッシュ化されるため、アップロードに時間がかかる場合があります。
- アップロードできるファイルは最大20MB(150万行)までです。
- CSVおよびTXTファイルがサポートされています。
引用:ビジネスマネージャー管理画面より
オーディエンスが作成できたら、いよいよメッセージを配信していきます。
LINE Official Account Managerでメッセージを配信
LINE Official Account Manager>メッセージ配信>メッセージを作成 でメッセージを作成します。
配信先を「絞り込み」を選択し、オーディエンスを指定します。
ビジネスマネージャーで作成したオーディエンスを選択し、メッセージを配信します。
他にもある!特定のユーザーにメッセージを配信する方法
ビジネスマネージャーを利用する以外にも特定のユーザーにメッセージを配信する方法があります。簡単にご紹介していきます。
電話番号でマッチングし、友だち以外にも配信できるLINE通知メッセージ
LINE通知メッセージは企業側で保有する電話番号を使って通知を送るLINEのサービスです。「購入完了通知」「配送通知」「申込完了通知」「リマインド通知」など、通知の用途で利用できるメッセージです。有名な事例としては佐川急便様での活用があります。
LINE通知メッセージは、友だちであるなしにかかわらず、つまり、自社会員がLINE公式アカウントの友だちではないケースでも送信できる点が最大の特長ですが、一方で以下のような制限があります。
- LINE通知メッセージの利用用途は、LINEヤフー株式会社がユーザーにとって有⽤かつ適切であると判断したものに限定され、営利⽬的および広告⽬的のものは送信できません。
- 配信するメッセージの内容は「LINE通知メッセージUXガイドライン」に記載されている「メッセージの内容」のみ利用可能で、LINEヤフー社のUX審査を受ける必要があります。
- LINEのパートナー経由での利用が必要です。※サービス・費用はパートナーごとに異なります。
そのため、電話番号を利用した個別のメッセージの中でもプロモーションでの利用ではなく、ユーザーに有益な「通知」を届けたいという場合にマッチする施策です。
LINEのユーザーIDを使用してメッセージを配信する
ユーザーIDを利用したメッセージ配信の条件
LINEのユーザーIDとはLINEの友だち(ユーザー)に対して割り振られている一意の内部識別子です。ユーザーIDを指定することで特定の友だちに個別のメッセージを配信できます。
ただし、ユーザーの電話番号やメールアドレスと異なり、企業は友だちのユーザーIDが何かを知りません。
そのためユーザーIDを配信に利用するには、LINEプラットフォームかMessaging APIやLINEログインを利用して友だちのユーザーIDを取得し、自社の会員情報に紐づける必要があります。
LINE Official Account Managerを利用し、LINEのユーザーIDを用いた配信を行う
取得したLINEのユーザーIDをLINE Official Account Managerにcsv形式などでインポートし、そのユーザーIDを対象としてメッセージ配信を行う方法です。
「オーディエンス」から「ユーザーIDアップロード」を選択することでオーディエンスを作成します。
作成したオーディエンスはメッセージ配信はもちろん、除外配信にも利用可能ですので、ユーザーIDを取得済みのID連携済の会員以外にメッセージを送りたい場合にも活用できます。
Messaging APIを用いた配信
外部配信ツール導入やスクラッチでシステムを構築して配信を行う方法です。
ツールの費用や開発工数は発生しますが、配信の自動化などが可能となります。
例えば下記のような施策が実現できます。
- 会員登録後未購入ユーザーにLINEでクーポンコードを配信する
- トライアル商品を購入した人向けに、定期購入を促すメッセージを定期的に配信する
- 商品をカートに入れたままの人向けに購入を促すメッセージを自動で配信する
外部ツールを利用する場合、それぞれのツールの機能によってできることが異なります。中にはLINEログインを用いずにツール側でユーザーIDを取得する機能を持っており、配信まで手軽に行うことができるものもあります。
まとめ
無料、かつ簡単に実現できることから、まずは試してみたいという場合はビジネスマネージャーの利用もおすすめです。
また、ビジネスマネージャーは他にもいろいろな活用方法があります。
例えば、複数のLINE公式アカウントを運営している場合では、LINE公式アカウントのオーディエンスを活用し、ターゲット層が似ている別のLINE公式アカウントの友だち追加広告を配信することで親和性の高い友だちを効率的に獲得するといったLINE公式アカウントとLINE広告を横断した活用も可能です。
この機会にビジネスマネージャーをぜひチェックしてみてください。