ShopifyとLINEを連携できると打ち出すアプリが増えてきましたね。
マーチャントの皆さんが実現したいことは様々だと思いますが、我々が今まで500アカウント以上のLINE公式アカウントを近くで見てきたかぎり、LINE公式アカウントの活用度合いや月商規模によって大きく分けて3つのフェーズがあると考えています。
- 接客を重視したい
- メルマガ以外でも売上を増やしたい
- ショップのリピーターを増やしたい
上記の課題に対してShopifyとLINE公式アカウント、さらに弊社のShopifyアプリ「CRM PLUS on LINE」を組み合わせることで何ができるかを、Shopify Basicプランでの利用をベースにまとめました。1章・2章で紹介する施策は「CRM PLUS on LINE」無料プランから利用できるものばかりですので、ぜひご一読・お試しいただければと思います。
フェーズ1(~月商300万円):接客を重視したい
規模でいうと月商300万円くらいまでで、少人数もしくは1人でECを運営しているケースが多いですね。高単価低リピート商材も該当します。LINE公式アカウントでいうと新規開設、もしくは友だちが1,000人未満のイメージです。
ブランド認知が高くなく、また運用リソースが多くないため一番詳しい店主が1人1人のお客様対応にリソースを割くことが結果的に一番売上に効いてくるケースが多いフェーズです。このフェーズで「CRM PLUS on LINE」が貢献できるのは手間がかからず、かつじわじわと売上に貢献する下記の機能です。
- タブ型リッチメニューの作成
- サンクスページでLINE ID連携を促進→商品発送をLINEで通知
- LINE ID連携したユーザーへ、カゴ落ちLINEを配信
1人1人のお客様対応という点へは現時点で貢献できません。ただし、カゴ落ち配信で売上増、次のフェーズで打ち手を増やすための土台作りに貢献できます。ステップ配信機能も使えますが、シナリオを作ったりチューニングしたりするリソースがないケースも多いので、ここでは一番手がかからないカゴ落ち配信を挙げています。
……お客様対応のチャットでいうと話は逸れますが、LINE Official Account Managerのチャット機能は返信が通数課金にカウントされない点が大きなメリットでもあるので、チャット対応してるお客様の情報や購入履歴がスマホの画面内で確認できるとさらに使い勝手が良くなるだろうなと思ってます。
タブ型リッチメニューの作成
一般的に、LINE公式アカウント関連のツールの設定にはMessaging APIチャネルのWebhookが必要になることが多いのですが、Webhookは1アカウントにつき1つしか設定できないため、Webhookの設定を必要とするツール同士の併用はできません。しかし、「CRM PLUS on LINE」はWebhookの設定が不要なので、他社のLINE関連のツールと併用できるのも大きなメリットです。
タブ型リッチメニューもWebhook無しで作成できるので、他社ツールとも併用可能で、無料プランからご利用いただけます。
サンクスページでLINE連携を促進→商品発送をLINEで通知
キャリアメール宛だと商品発送メールが届かなくて困っているというお話を聞くことも増えてきました。発送通知をLINEで確実に受け取れる体験をインセンティブにID連携数を増やしておくと、中長期的に施策の幅が広がります。
具体的な設定・配信イメージは、2章の「サンクスページでLINE連携促進→商品発送をトリガーにステップ配信」欄をご覧ください。
LINE ID連携したユーザーへ、カゴ落ちLINEを配信
カゴ落ち配信など、お客様の状態に応じたメッセージ配信を行うためには、ID連携が必要です。「CRM PLUS on LINE」を使うことで、サンクスページやマイページからLINE連携を促進できます。
ID連携さえできていれば、あとは「CRM PLUS on LINE」からカゴ落ちメッセージ設定をONにして、時間設定を行うだけでOKです。
配信結果の計測のためのGA用クエリパラメータも設定できます。
関連コラム:ID連携の重要性
※ID連携=LINE UID (プラットフォームID)とShopify ID(顧客ID)を紐づけること
ID連携なんて面倒だと思われる人もいると思うんですが、プラットフォームを一つのチャネル(面)と考えた場合、プラットフォームを最大限に活用するにはデータとデータを結び付けられるID連携が一番効果的です。現代においてプラットフォームを活用しないという選択肢はほぼないと思います。
多くのLINE公式アカウント運用を見てきて、規模が大きいお客様ほど費用対効果が高いLINE活用施策ができているケースが多いです。全配信と比べて顧客の属性を分けて配信したほうが費用対効果が高まるのは最早周知の事実なので、ID連携率をKPIの一つに置く企業も多いですね。
ID連携率が高いと多くの自社データをLINE配信に活用できるためメッセージ配信の精度が高まり、その結果費用対効果が伸びるのでさらにID連携数を増やしたいという循環になるため、いかにしてID連携数を増やすかという相談が増えていきます。
結論から言うと、ID連携数を増やす一番効果的な施策は、新規会員登録の導線にLINEログインを設置することです。金銭的なインセンティブよりも顧客体験でのインセンティブのほうが大きく伸ばせます。
LINEログイン機能は「CRM PLUS on LINE」でも提供しているのですが、セキュリティ面を考慮してShopify Plus限定での提供となっています。そのため Shopify Basicプランの場合、ID連携数を伸ばすには、地道にサンクスページでアピールしたり、連携促進用の専用LPを作ったり、商品にチラシを同梱してID連携のメリット(LINE先行販売やセール案内)を伝えたりする施策が必要です。
よりID連携数を伸ばすスピードを上げたい場合は、ID連携すると初回限定クーポンプレゼントなど金銭的なインセンティブに頼ることになります。広告費と割り切れればコスト的にもそう高くはないでしょう。
我々も本心としてはShopify BasicプランでもLINEログイン機能を利用できるようにしたいので、今はShopify Plus限定で提供されているマルチパス機能が、Shopify FlowのようにBasic向けにも開放されることを祈ってます。
フェーズ2(月商300万~):メルマガ以外でも売上を増やしたい
月商が300万円を超えてくる事業規模や、定期通販は運営初期からここに該当します。友だちが5,000人くらいまでイメージです。この規模になると売上を上げるための人的リソースが増えてくる印象です。
このフェーズで「CRM PLUS on LINE」が貢献できるのは下記機能です。
- 顧客タグで絞り込んだLINEセグメント配信
- サンクスページでLINE連携促進→商品発送をトリガーにステップ配信
- 再入荷通知 ※ Shopifyアプリ「Back in Stock」が必要です
顧客タグで絞り込んだLINEセグメント配信
メルマガと併用する形で、顧客タグで属性を絞り込んだセグメント配信を行うのも効果的です。
ユーザーがID連携してくれると、Shopify上にある顧客情報を活用したセグメント分けができるようになるので、より費用対効果の高いLINE配信が実現できます。「CRM PLUS on LINE」は多彩なクリエイティブが作成可能なFlexメッセージにも対応しています。
ただし、売上ばかりを意識した配信が続くと、いくらセグメント分けをしてもブロックされる確率は高まるので、適度に息抜きのようなコンテンツを挟む努力は必要です。詳しくは3章の「ショップのリピーターを増やしたい」で書きます。
配信頻度としては週1回配信であればブロック率は10〜15%で推移します。週1回を超えてくると顕著にブロック率が上がるので、やみくもに送らず1通を大切にしましょう。そして1通を大切にするには顧客データの活用が必須です。
「CRM PLUS on LINE」では、顧客タグで絞り込んだユーザーに向けたLINE配信ができます。顧客管理画面から条件を指定して手動でタグ付けすることもできますが、「Easy Tagging」などタグ付けが自動化できるアプリを使って、特定の商品を購入したら顧客へタグ付けするなど設計しておくとなお良しです。 今年中にShopify Basic向けへの開放が予告されている「Shopify Flow」が開放されれば、Shopify Flowを活用する形でもタグ付与の自動化は実現可能になりますね。
「Easy Tagging」で商品購入時に顧客タグ付けする設定
サンクスページでLINE連携促進→商品発送をトリガーにステップ配信
LINEで再入荷通知
人気商品の再入荷通知をLINEで受け取れることは、ユーザーにとって大きなインセンティブになります。メールよりもLINEの方が気付きやすいので、すぐ売り切れる商品なんかはLINEで通知を受け取りたいですよね。
お気に入りの値下げや、在庫残り僅か!のような通知にも対応したいのですが、Shopify FlowがBasicプランでも使えるようになるとWishlist系のアプリと連携しやすくなるので、それまでお待ちください。
フェーズ3(月商800万~):ショップのリピーターを増やしたい
機能としてはこれまでの1章・2章で全て案内していますが、このフェーズで我々が提供できるのはLINE公式アカウントの活用支援です。なんだかんだで下記の3つの相談が多いです。ここはエンタープライズ企業支援の経験が活きてきます。
- 配信テクニック
- CRM施策をどう実現するかの設計支援
- ID連携数をさらに増やす施策
配信テクニックで参考になるコンテンツとしてShopifyではありませんが、ナースリーさんへお話を伺ったウェビナー動画があります。「押しつけない」プッシュ配信、という響きがイイですね。
ヒラキさんの、これからの時代のCRMというのも納得です。
CRM施策をどう実現するかの設計支援はいわゆるデータ設計ですね。これは結果的にID連携数を増やす施策とセットになります。どこにどんな形式のデータがあるので、これはできる、これはできない、できない代わりにこれなら実現できるという代案を提案できます。商材やブランドイメージ、商品単価や顧客層によって設計も変わってきます。ここは本当に経験が活きる領域ですね。
既に利用しているアプリによって持ってるデータやデータの形式が異なるので、そのあたりも考慮して実現可否が案内できるのは強みだと思っています。
活用事例紹介
LINE連携を促すLP編
Francfrancさんでは、顧客体験が上がることがインセンティブとなってユーザーが積極的にID連携をしてくれています。非常にメリットがわかりやすくデザインされたページで我々も学ぶことが多いです。
オムニチャネル編
BAKEさんでは、Shopify Plus x スマレジ x スマレジ連携アプリ「Omni Hub」x LINE連携アプリ「CRM PLUS on LINE」で、実店舗でQRコードを読み込み、最短3タップで会員登録・会員バーコード発行ができる仕組みを実現しています。2回目からはQRコード読み込みか、LINEのリッチメニューを1タップするだけで会員バーコードが表示できます。もちろんオンラインショップでも利用可能なアカウントです。会員ランク機能は「Appify VIP」で実現されています。
店頭に来店されるお客様を、スマホから簡単な操作で会員バーコード発行・LINE連携・オンラインショップへの登録が一気にできるので、ほぼ友だち数=ID連携数になります。増え方もオンラインだけより勢いがあります。しかも、来店される=ブランドへの親和性が高いお客様なので、ファンになってもらえる可能性が高いです。この接点は大事にしたいですね。
最後に
我々ソーシャルPLUS社はLINE公式アカウントのセールスパートナーとして2021年に「SMB Sales Partner部門」でGoldを受賞しています。またテクノロジーパートナーとしても認定バッジ「Performance」を取得しています。国内でも数少ないセールスパートナーとテクノロジーパートナーで実績を兼ねている企業です。そして、Shopify Japanが認定する「Shopify Plus App Developer of the Year 2021」も受賞しています。
Shopifyアプリに関することはもちろん、ECサイトでのLINE公式アカウント活用支援の方が実績としては豊富なので、Shopifyに限らずお気軽にLINE公式アカウントの活用についてご相談いただければと思います。
執筆:岡田 風早(株式会社ソーシャルPLUS 代表取締役)