
Shopifyは、越境ECとしても利用しやすいコマースプラットフォームです。日本だけではなく海外のユーザーも利用できるように、多言語対応でサイトを構成している方も多いのではないでしょうか。
多言語対応しているサイトと連携したLINE配信を行いたい場合、「普段から英語を使っているユーザーには、日本語ではなく英語でメッセージを届けたい」というケースもあるかと思います。LINE公式アカウントではユーザーの国や言語ごとにメッセージを出し分けることができませんが、Shopifyでは顧客の「使用言語(customer_language
)」を判定できるため、自動的にお客様の言語ごとにLINEメッセージを出し分けることが可能です!
本記事では、多言語対応している日本拠点ストアにおいて、Shopifyでお客様の使用言語を判定し、LINE連携Shopifyアプリ「CRM PLUS on LINE」とワークフローの自動化アプリ「Shopify Flow」で言語ごとにLINEメッセージを出し分ける方法を詳しく解説します。
台湾やタイでも!LINE公式アカウントの海外利用状況
日本ではインフラツールとして広く利用されているLINEですが、海外での活用状況を知っている人は少ないかもしれません。実は、LINEの月間アクティブユーザーの51%は海外ユーザーなのです。

特に台湾やタイでの利用率は高く、それぞれ総人口の93.9%・84.7%と、日本以上に高い割合で利用されています。また、LINEヤフー社の現地法人は日本、台湾、タイの他、韓国やベトナムにも拠点があり、アジアを中心に日本以外でも広く利用されています。

LINE公式アカウントは国外のユーザーでも友だち追加ができる
日本のLINE公式アカウントは、国外のユーザーでも友だち追加することができるため、別途海外リージョンで作成したLINE公式アカウントを用意する必要はありません。
日本のLINE公式アカウントは日本のユーザーしか友だちになれませんか。|LINE for Businessーよくある質問ー
LINE連携Shopifyアプリ「CRM PLUS on LINE」をご利用いただく場合、1つのShopifyストアに紐づけられるのは1つのLINE公式アカウントのみですが、今回紹介する方法を利用すると、1つのLINE公式アカウントで、各エリアに合わせた言語のメッセージを出し分けることができます。
事前準備
必要なShopifyアプリ
本記事で紹介する仕組みを実装するために必要なアプリは2つです。
- ワークフローの自動化:Shopify Flow
- LINE連携・メッセージ配信:CRM PLUS on LINE
お客様の使用言語を取得する方法
Shopifyでは、お客様の使用言語を customer_language
というデータで判定できます。

このデータは、以下の要素に基づいて決まります。
- お客様がストアを閲覧する際に選択した言語
- チェックアウト時の使用言語
- ストアのデフォルト言語(特定の選択がない場合)
この customer_language
を活用することで、「お客様セグメント」画面で特定のエリアのユーザーをセグメントしたり、Shopify Flow上で条件分岐を作成し、言語ごとに適したメッセージを送ったりすることができます。
アメリカの場合は’en‑US
‘を、イギリスの場合は’en-EN
‘を指定できます。その言語の話されている地域を特定するロケールISOコードと、ISO言語コードが格納されています。
Shopify公式ヘルプ「Shopifyベースのお客様セグメントの絞り込み お客様の言語」
Shopify公式ヘルプ「言語を管理する」
Shopify Flowで、お客様の使用言語別にLINEメッセージを送る方法
Shopify Flowを使って、お客様の使用言語ごとに異なるLINEメッセージを送るワークフローを作成していきます。
この記事では、例として「日本語利用ユーザーと英語利用ユーザーでメッセージを出し分ける」ワークフローを作成・解説します。
まずはワークフローの完成イメージをお見せします!

本ワークフローを作成するための大まかな手順は下記の通りです。
- トリガーを設定(ID連携時にワークフローを開始)
- 条件分岐を作成(お客様の言語別)
- 条件分岐
customer_locale
を選択 - 条件設定例:
customer_locale
="ja"
を含む 方には 日本語でLINEメッセージを送信customer_locale
="en"
を含む 方には 英語でLINEメッセージを送信
- 条件分岐
- アクションを設定(LINEメッセージの送信)
- 言語ごとに適したメッセージ内容を設定します
各手順ごとに、順番に解説していきます!
トリガーを設定(ID連携時にワークフローを開始)
今回はトリガーとして「Add – 顧客にソーシャルログインの連携が追加されました」を設定します。これは「CRM PLUS on LINE」が提供しているトリガーで、ユーザーがShopifyの会員IDとLINEのIDを連携すると、ワークフローが開始されます。

条件分岐を作成(お客様の言語別)
ユーザーの使用言語・エリアごとに条件分岐を作成していきます。 条件分岐は”一致”ではなく”含む”で設定しています。※ customer_locale
= "ja"
のように言語
のみの値だけでなく、customer_locale
= "en-US"
のように言語とエリア
がセットになった値も全て配信対象になるように指定するためです。

補足:customer_language と customer_locale
お客様セグメント上では、使用言語・エリアは customer_language
のカテゴリーに存在しますが、Shopify Flowでは customer_locale
で使用言語・エリアの条件分岐を指定します。
少しややこしいですが、customer_language
は言語の情報を主としており、customer_locale
はお客様のロケール情報を元にしています。
customer_language :
お客様がストアとやり取りする際の言語を示します。ISO 639-1の2文字の言語コードを使用しており、地域を考慮することも可能です。例えば、enは英語全般を示し、en-GB
やen-CA
のように地域を指定することもできます。
customer_locale :
お客様のロケールを示し、言語と地域など詳細な情報が含まれます。例えば、en-US
はアメリカ英語を指します。
厳密には上記のような違いがありますが、どちらも言語情報を含んでいるため、今回の施策の条件分岐やセグメントに利用することが可能です。
アクションを設定(LINEメッセージの送信)
使用言語での条件分岐後、それぞれの顧客に配信したいメッセージを設定していきます。
CRM PLUS on LINEが提供しているアクション「LINEでTextメッセージを送る」を選択し、メッセージ本文を入力します。

例:日本語(customer_locale
= “ja”)の方向け
ID連携いただきありがとうございます!
例:英語(customer_locale
= “en”)の方向け
Thank you for linking with LINE account!
お客様セグメントを活用した、季節イベントごとのメッセージ出しわけも可能
これまで紹介した方法は、Shopify Flow上で customer_locale
を活用してメッセージを出し分ける方法でした。
本章では、お客様セグメントで customer_language
を活用してセグメントする方法も、参考までにご紹介します。
国・言語圏ごとに文化が違うものといえば、季節イベントやキャンペーンなども挙げられますよね。例えば、ブラックフライデーは本場であるアメリカの方が積極的にプロモーションされていますし、バレンタインに贈るプレゼントの習慣にも違いがあります。
Shopifyのお客様セグメントでは、customer_language
で絞り込むことで、利用言語ごとにセグメントを作成できます。これにより、特定の言語圏のユーザーに向けて、訴求する商品やメッセージのタイトルを言語ごとに出し分け可能です。
例えば customer_language = 'ja’
で日本語利用ユーザーに絞り込むことができます。

- 日本国内ユーザーには季節イベント(クリスマス・ハロウィン) に合わせた言語別キャンペーンを強化
- 欧米ユーザー向けにブラックフライデーとサイバーマンデーのプロモーションを送信
お客様セグメントを利用したメッセージ配信の方法については、下記記事をご参照ください!
まとめ
Shopifyの customer_locale
や customer_language
を活用し、LINEメッセージを言語ごとに出し分ける方法を解説しました。この設定を活用すれば、言語ごとにLINEのメッセージを出しわけできるため、使用言語のアンマッチによるブロック率の低下も期待できます。
「普段から英語を使っているユーザーには、日本語ではなく英語でメッセージを届けたい」など、よりユーザーにとって親しみやすいメッセージ配信を行いたい際にぜひお試しください!