
ポイントカードや会員証は、リピート促進やロイヤル顧客の育成に欠かせない施策です。
一方で、紙の会員証は発行・管理の手間やコストがかかり、来店時に持参されない、複数枚発行されて新規か再発行か追跡できない、といった課題があります。
さらにOMO※が進むなか、店舗とECで顧客データが分断され、活用しきれていないという声も少なくありません。
これらを解決する手段の一つが、LINEを活用したデジタル会員です。
本記事では、LINE会員証の特徴やメリット、作り方を4つの導入方法で比較し、費用・選び方・導入事例の成果まで、検討に必要な情報をまとめて解説します。
※OMO:「Online Merges with Offline」の略で、オンラインとオフラインの融合を意味するマーケティング概念

LINEを活用したデジタル会員証とは?
LINE会員証とは、LINEアプリ上で発行・提示できるデジタルの会員証(ポイントカード)です。
ユーザーはお店やサービスごとに個別のアプリをダウンロードしなくても、LINE上で会員証を手軽に提示し、サービスを利用することが出来るようになります。いつも利用しているLINEアプリに様々なショップの会員証を集約して管理できるため、紙の会員証を持ち歩く必要がなくなります。
また、LINE会員証の発行時に友だち追加を行うため、LINE公式アカウントのメッセージ配信を通じてキャンペーン情報の配信やクーポン発行などを直接届けることができるため、顧客との継続的な接点を持ちやすい点が特徴です。
LINE会員証を導入する3つのメリット
1. 会員証を持ち歩く必要がなく、LINEからすぐ提示できる
LINE会員証なら、紙やプラスチックのカードを持ち歩く必要がなく、普段使っているLINEから必要なときに会員証を表示できます。
「会員証を忘れた」「どこにしまったかわからない」といったことが起こりにくく、ユーザーにとって使いやすいのがメリットです。
また、専用アプリを新たにインストールする必要がないため、会員証を利用するまでのハードルも下げやすくなります。
2. 紙・プラスチックカードの発行や管理の負担を減らせる
紙やプラスチックの会員証では、カードの制作や発行、在庫管理、紛失時の再発行など、さまざまな運用コストがかかります。
LINE上で会員証を提供することで、こうした物理的なカードの発行・管理にかかる負担を減らすことができます。
店舗側のオペレーションを効率化しやすいことに加え、ユーザー側もカードを保管する必要がなくなるため、双方の負担軽減につながります。
3. LINE公式アカウントを通じて、会員との継続的な接点をつくりやすい
LINE会員証は、会員証を提示するための機能としてだけでなく、LINE公式アカウントを通じてユーザーと継続的につながるきっかけにもなります。
会員証を利用する導線とLINE公式アカウントを組み合わせることで、キャンペーンや新商品、店舗情報、クーポンなどをLINEで案内しやすくなります。
会員証をきっかけにLINE上で接点を持ち続けることで、来店や再購入を促すコミュニケーションにつなげやすくなる点もメリットです。
LINE会員証の4つの導入方法
LINE会員証には、用途・対象企業・開発の有無によって、大きく次の4つの導入方法があります。
- ショップカード:LINE公式アカウントの基本機能。無料・最短で始められる
- マイカード:LINEアプリ上の「ポイントカード/会員証」メニュー内で会員証を管理(提供は一部企業に限定)
- LINEログインを活用したデジタル会員証:既存の会員データベースと連携した会員証の提示・表示が可能(要開発)
- LINEミニアプリで作る会員証:LINE内で動くWebアプリとして、会員証提示のほかポイントやクーポンなど多様な機能を提供可能(要開発)
ショップカード(LINE公式アカウントの標準機能)
ショップカードは、LINE公式アカウントの標準機能で、「LINE Official Account Manager」から設定できます。
LINE公式アカウントの管理画面から発行されるポイント付与専用のQRコードを、店頭や店内に掲示し、商品購入や来店の特典としてユーザーがスマホで読み取ることでポイントが付与されます。
また、ポイントを一定数貯めたユーザーに対して提供するクーポンなどの特典を自由に設定することもできます。
ショップカードは、LINE公式アカウントの全てのプランにおいて無料で利用できるため、販促や集客に手軽に導入できる点がメリットとなりますが、あくまでもポイント付与に限定された機能となります。

ショップカードは、LINEの公式アカウントのトーク画面下に表示されるリッチメニューにリンクを設定することができます。
ユーザーはLINE公式アカウントのトーク画面を開けば、リッチメニューからすぐにショップカードへアクセスできるようになるため、来店時の提示がしやすいことはもちろん、いつでも自分のポイントや特典を確認できるので、再来店の促進にも有効です。
マイカード
LINEの「マイカード」は、LINEアプリ上で対応企業のポイントカードや会員証をまとめて管理できる機能です。LINEアプリ画面右端の「アプリ」> 「ポイントカード/会員証」内で登録・表示することができます。
ユーザーは、LINE Starbucks CardやVポイントなど対応するショップやポイントのカードを登録すると、LINEから会員証やポイントカードを表示でき、店舗でバーコードなどを提示して利用できます。
利用頻度の高いショップやサービスの会員証やポイントカードをスマホのタップだけで簡単に作成し、LINEのアプリ内でまとめて管理できるので、個別のアプリをダウンロードしたり、複数のカードを持ち歩いたりする必要がない点がメリットです。
一方、マイカードはすべての企業が自由に導入できる機能ではなく、利用できる企業は限定されています。
そのため、これからLINEを活用した会員証を新たに導入したい企業では、LINE公式アカウントの「ショップカード」や、LINEログイン・LINEミニアプリを活用した会員証が主な選択肢となります。

LINEログインを活用したデジタル会員証
既存の会員データベースを基盤に、より多くの企業が導入できる方式です。LINEログイン実装の開発が必要ですが、中長期での拡張性が高いのが特長です。
LINEログインを活用したデジタル会員証の発行フローでは、新規ユーザーには自社サイト(サービス)への会員登録とLINEのIDとの紐づけ(ID連携)を、既存ユーザーには既に登録済の会員情報とLINEのIDとの紐づけ(ID連携)を自然に促すことができます。
例えば、新規ユーザーがLINEログインを利用してデジタル会員証を発行するフローは以下の通りです。

- ユーザーが店頭で会員証発行用のQRコードを読み取ります。
- LINEアプリが起動します。
- LINEログインの認可取得時にLINE公式アカウントへの友だち追加(LINEの自動友だち追加機能)が行われ、会員登録フォームに遷移します。
- 会員登録フォームには、ユーザーがあらかじめLINEアプリに登録していた情報が自動で補完(LINEのProfile+)されるため、フォーム入力不要もしくは入力を最小限にして会員登録が完了します。
- 自社サービスへの会員登録と同時に、LINEのID連携が完了し、LINEのアプリ内ブラウザで会員証が表示されます。
このように、LINEログインを活用したデジタル会員証では、簡単に会員証を発行できることに加え、会員証発行フローの中で、会員登録、LINE公式アカウントの友だち追加、LINEのID連携が完了することが特徴です。

LINEミニアプリで実現する会員証(ポイントカード機能)
LINEミニアプリは、多くのユーザーが日常的に使用するLINEアプリの中に、自社のWebサイトやアプリにかわるサービスを開設できる機能です。
LINEアプリ内に、自社サービスのメニューや料金などのサービス情報、予約フォームの設置、クーポン発行、ポイントカード機能、支払い機能など、提供されている機能を組み合わせて、自社のサービスを提供することができます。
LINEミニアプリ上で取得した顧客情報を元にしたメッセージ配信もできるため、例えばLINEミニアプリで会員証を発行・提示してお買い物をした後に電子レシートを配信したり、購入履歴をもとに後日パーソナライズされたクーポンやお知らせを配信したりすることも可能です。

LINE会員証の導入費用は?無料でできる範囲と導入費用が発生するケース
LINE会員証の導入費用は、どのような会員証を作りたいかによって大きく費用が変わります。
標準機能を活用したポイント付与・特典設定のみなら無料
LINE公式アカウントの標準機能「ショップカード」であれば、LINE公式アカウントの全プランで追加の費用なしで無料で活用できます。
ポイントの付与や特典設定など、LINE公式アカウントの標準機能の範囲内でポイントカードを運用するのであれば、追加のシステム開発を行わずに始められます。
そのため、「まずポイント施策を試したい」「既存システムとの連携は必要ない」「小規模店舗でシンプルに運用したい」という場合は、ショップカードから始めるのも選択肢です。
LINE会員証の導入費用が発生するケース
既存の会員データやポイントシステムとの連携を要する場合
既存の会員基盤やPOS、ポイントシステムとLINEを連携する場合は、連携先の仕様に応じた開発や外部サービスの導入が必要になることがあります。
例えば、以下のような仕組みを実現するケースです。
- 既存の会員IDとLINEアカウントを紐づける(ID連携)
- 店舗とECの会員情報を統合する
- POSやポイントシステムと連携する
- 店舗・ECで共通のポイントを利用できるようにする
- 購買履歴や会員ランクをLINE上の表示・配信に活用する
こうした連携では、API開発やシステム設定、外部サービスの利用などが必要になるため、その内容に応じて初期費用や月額費用が発生します。
LINEミニアプリを利用して独自の機能を追加したい場合
LINEミニアプリなどを使い、会員証だけでなく予約・決済・クーポン・モバイルオーダーなどを組み合わせる場合、LINEミニアプリ自体の利用料やAPI利用料は無料ですが、LINEミニアプリを導入するためのパッケージ利用料や開発費用が発生します。
<LINEミニアプリの導入方法ごとにかかる費用のイメージ>
- パッケージを利用する場合:サービス利用料
- 委託開発の場合:開発費用・保守運用費用
- 自社開発の場合:開発・保守を行うための人件費
費用は対応する機能数や既存システムとの連携範囲によって大きく異なります。
費用は導入する機能や規模によって大きく異なります。シンプルなパッケージであれば月額1万円未満で導入できるサービスもある一方で、自社システムとの連携や独自機能を含む大規模な開発では、数百万円以上の開発費用がかかるケースもあります。

LINE会員証の導入方法の選び方・検討時の注意点
目的から必要な機能・導入方法を決める
まず「LINE会員証を作ること」自体を目的にしないことが重要です。
例えば目的によって、適切な方法は変わります。以下の表で、主要な目的ごとに向いているLINE会員証の導入方法をまとめています。
| 目的 | 向いている方法 |
| 無料で手軽にポイントカードを始めたい | ショップカード |
| LINEアプリ内で既存の会員カードを使えるようにしたい | マイカード |
| 既存会員・EC・店舗データをつなぎたい | LINEログイン+会員証 |
| 予約・注文などの機能もLINEに集約したい | LINEミニアプリ |
既存の会員データをどう扱うか確認する
特に注意したいのが、すでに会員制度を運用している企業です。
新しくLINE会員証を作っても既存会員IDと紐づけられなければ、「同じユーザーなのに店舗・EC・LINEで別の会員として登録される」といった問題が起こる可能性があります。
会員証のUIだけではなく、既存の会員データベースやECシステム、ECシステム、POSシステム、ポイントシステム、CRM(顧客管理)やマーケティングオートメーションツールなどと、どのように情報を連携するのかまで設計しておきましょう。
導入費用だけでなく今後の拡張性を考慮する
初期費用を抑えるために最低限の機能だけで作ったものの、後からシステム連携や機能追加が必要となり、結果的に大きな改修費が発生するケースも考えられます。
- 将来的に店舗とECのポイントを共通化する可能性があるか
- 会員情報をLINE配信に利用したいか
- 店舗数や会員数が増えたときにも運用できるか
以上の点を導入前に確認しておくことをおすすめします。
LINE会員証の導入事例・効果
ここからは、実際にLINEを活用した会員証やポイントカードを導入している企業の事例をご紹介します。
アコーディア・ゴルフ|導入から5カ月で友だち10万人、ID連携率60%
アコーディア・ゴルフ公式サイトでは、LINEログイン機能や自動友だち追加機能、LINEの会員証(ポイントカード)を導入し、LINE公式カウントへの友だち追加とID連携済の会員に対して、LINEで簡単にゴルフ場の予約やチェックインができる便利な顧客体験を提供しています。

LINE公式アカウントの開設・LINEログインの導入から5ヵ月でLINEの友だち数は10万人を超え、約60%がアコーディア・ゴルフの会員IDとのID連携も完了しています。
会員証という日常的に利用する機能をLINE上に設けることで、ユーザーの利便性向上とID連携促進を両立した事例です。
ミズノ|個人情報入力なし、約5秒で仮会員証を発行
「会員登録を促進するためにフォームの項目は減らしたい」
「とはいえ、後のCRMのために顧客情報の取得・連携もおこないたい」
これらの課題に対して、「ミズノ公式オンライン」ではLINEミニアプリを活用した仮会員証の発行で、会員登録フローの簡略化と、CRM最適化のための情報連携を実現しています。
仮会員登録時は、個人情報の入力が一切不要で、時間のないレジ前やイベント会場でも、さっとQRコードを読み取るだけで仮会員バーコードを発行できます。また、同時にミズノのLINE公式アカウントへの友だち追加も完了します。
- 店舗やイベント会場で、QRコードを読み取りでLINEミニアプリを活用した仮会員バーコードの発行とLINE公式アカウントへの友だち追加
- ミズノ公式オンラインへの本会員登録時にLINEログインを活用しLINEのID連携
- 店頭のQRコードやLINE公式アカウントのリッチメニューから、店舗・EC共通のポイントがつく会員証を提示

マドラス|LINEから店舗・EC共通の会員証を発行・提示
マドラスでは、店舗とECを問わずスムーズな購買体験を提供し、お客様と長期的な関係を築くため、LINEログインを用いたLINE会員証を導入しています。
LINE公式アカウントのリッチメニューに「ログイン・会員証」のメニューを設置し、ユーザーはLINEから簡単に会員証を表示できます。
また、店舗では会員証発行用のQRコードを接客スペースやレジ前に設置しています。QRコードを読み取ることで、LINEログインを利用した会員登録・LINE公式アカウントの友だち追加・ID連携をスムーズに行える導線を整えています。

会員証を単独の機能として提供するのではなく、LINEを店舗とEC双方への入口として活用し、導入から3年(2022年4月〜2025年3月)で、LINE公式アカウントの友だち数が6.6倍に増加しています。

PAPABUBBLE|店舗来店者の7割がLINEから会員証を登録・提示する店舗も
PAPABUBBLEでは、店舗・EC・ブランドサイトがそれぞれ独立しており、「店舗で購入したユーザーに継続的にアプローチできない」「店舗とECをまたいだ購買行動を把握できない」という課題を抱えていました。
そこで、ShopifyとLINEを連携する「CRM PLUS on LINE」のLINEログイン機能を活用し、店舗とECの会員情報を一元化。特に、ファンとの接点が生まれやすい店舗での会員登録を促進するため、LINEから短時間で登録できる会員証の仕組みを導入しました。
店舗ではQRコードから会員登録画面を開き、登録フォームで入力する情報をメールアドレスのみに限定しています。LINEアカウントに登録されているメールアドレスが自動入力されるので、ユーザーは画面をタップするだけでスムーズに会員登録を完了できます。登録後はLINEから会員証を表示し、店舗で利用できます。

こうした導線の簡略化や、会員登録時のキャンディプレゼントなどの施策により、開始から約2カ月で、店舗来店者の約7割がLINEから会員証を登録・提示する店舗も生まれました。

さいごに
LINEで会員証やポイントカードを作る方法は、大きく4つあります。
手軽さ・低コストを重視するなら「ショップカード」、既存会員データとLINEをつないで活用したいなら「LINEログインを使ったデジタル会員証」、店舗での会員登録や予約などを含めた独自のユーザー体験をつくりたいなら「LINEミニアプリ」が有力な選択肢です。
重要なのは、「LINE上に会員証を表示すること」だけをゴールにしないことです。LINE会員証をきっかけに、
- 店舗とECの顧客情報をつなぐ
- LINEのID連携を促進する
- 購買・来店データを活用する
- ユーザーごとにLINEのコミュニケーションを最適化する
というところまで設計することで、LINE会員証をリピート利用やLTV向上につながる顧客接点として活用できます。
「ソーシャルPLUS」について
ソーシャルPLUSでは、LINEログインを活用した会員登録・ID連携から、既存の会員情報と連携したデジタル会員証、顧客データを活用したLINE配信まで一貫して支援しています。
「店舗とECで共通のLINE会員証を作りたい」
「既存の会員システムとLINEを連携したい」
「LINE会員証を作った後のCRM施策まで設計したい」
といった場合も、既存システムや運用状況に合わせてご提案します。
LINE会員証やID連携の導入をご検討の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
◇LINEのデジタル会員証に関するお問い合わせはこちら:https://www.socialplus.jp/inquiry




