

Shopifyが年2回、新機能やアップデートのまとめを発表するShopify Editions。今夏のSummer 2025が発表されました。今回も内容盛りだくさんで、150を超えるアップデートが含まれています。
本記事では、「Shopify Editionsは広範囲にわたるアップデートの羅列で、キャッチアップするのが大変だ」という声に応え、「CRM PLUS on LINEユーザー様が、周辺知識としておさえておくと良さそうなもの」という切り口でアップデート情報をピックアップしてまとめてみました。ぜひ参考にしていただけると嬉しいです。
※Shopify Editionsは毎回新機能の発表だけでなくテーマに沿ったコンテンツが用意されますが、今回はなんとドライブゲームです。私は 1分50秒台がやっとですが、さらに極めると1分40秒台も行けるとか・・・ こちらも息抜きにやってみてください!

進化するAIアシスタント「Sidekick(サイドキック)」
A smarter, more powerful Sidekick (Sidekickがさらにパワフルに便利に)
Sidekick now uses multi-step reasoning and goes deeper to provide data-driven strategies based on an analysis of your business.
2024年にリリースされた、ShopifyアシスタントのSidekick。リリース当初は設定やヘルプページの質問ができる程度でしたが、複数ステップを持つ推論も可能になりました。
また、アクセス可能なストアデータも充実しているので、ただデータを提示するにとどまらず、さらに踏み込んだ分析結果や戦略を提案してくれるように。
Sidekick now speaks 20 languages (Sidekickが日本語を含めた20言語に対応)
Sidekick is available in all supported admin languages.
元々は英語のみだったため、英語設定で管理画面を開かないとアクセスできなかったSidekickが20言語に対応。(管理画面の言語として設定できる言語と同じになりましたね!)
日本語の自然言語で気軽に聞けるようになり、かなり活用ハードルが下がりました。
Sidekick image generation(Sidekickが画像生成も可能に)
Generate visuals using a few keywords directly in the admin.
Sidekickは画像生成もできるようになりました。百聞は一見に如かず、下記画像をご覧ください。

生成した画像上で文字が崩壊することもありますが、かなり良い質の画像が生成されます。
これが追加料金なしで利用できるのはすごいです・・・。
Sidekick screen share with voice chat(Sidekickに画面共有しながらボイスチャット!?)
Simply share your screen and speak with Sidekick anytime to talk you through tasks in admin. Rolling out now for those new to Shopify.
Sidekickとボイスチャットが可能になるようです。また、同時に画面共有をすることで、実際の画面を見ながら共にタスク実行が可能に。
こちらの機能はまだ私の環境では確認できませんでしたが、下記動画の1:20から様子を確認できます。
【お知らせ】8/27 Sidekickに関する勉強会を開催します
2025年8月27日(水)、Sidekickに関する勉強会を開催します。
「グローバルではどのような活用方法や今後の展開が注目されているのか?」という情報共有をはじめ、「実際にこうやって活用してみた!」という知見を共有し合う場にできればと考えていますので、ぜひお早めにお申し込みください!
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顧客管理
One discount for multiple savings (1つのディスカウントで複数の割引適用が可能に)
Create a single discount that can be applied across products, orders, and shipping with select discount apps.
複数の商品・注文・配送にまたがって割引ロジックを適用する、1つのディスカウントコードを発行可能になりました。ただ、現状はこのカスタマイズに対応したサードパーティのアプリを利用する必要があります。
▶︎対応アプリはこちら

Updated ShopifyQL segment editing (顧客管理のセグメント作成時のコンソールが刷新)
Create and edit segments with assistive features, keyboard shortcuts, and improved date filtering.
顧客セグメントの作成コンソールが刷新され、入力アシスト機能やキーボードショートカットが追加されました。日付フィルターも改善されています。
この変更自体はかなり前から適用されており、おそらくみなさんの管理画面でも顧客セグメント作成時に入力欄に下記のようなコードが自動入力されるようになっていると思います。
FROM customers
SHOW customer_name, note, email_subscription_status, location, orders, amount_spent
WHERE
ORDER BY updated_at
また、キーボードショートカットは下記が使えるので、ぜひ試してみてください。
アクション | Windowsのショートカット | macOSのショートカット |
---|---|---|
元に戻す | CTRL + Z | ⌘ + Z |
やり直す | CTRL + Y | ⌘ + ⇧ + Z |
すべてのショートカットを見る | CTRL + / | ⌘ + / |
絞り込みライブラリー | CTRL + ALT + \\ | ⌃ + ⇧ + F |
テンプレートライブラリー | CTRL + \\ | ⌃ + ⇧ + T |
絞り込みを選択する | 入力 | ⏎ |
クエリを選択する | CTRL + A | ⌘ + A |
絞り込みを適用 | CTRL + ENTER | ⌘ + ⏎ |
透明エディタ | CTRL + ⭠ | ⌘ + ⌫ |
Ready-to-use segmentation templates (顧客セグメンテーションのテンプレートが追加)
Quickly target customers with pre-built segmentation templates for common use cases like language preference, purchase history, and location.
顧客のロケーションやストアクレジットなど、今回のEditionsで追加されたフィルターを活用したものを中心に、テンプレートが追加されました。
Retail segments with addresses (範囲で絞り込むセグメントに任意の地点が選択可能に)
Create a geographic segment using a plain-language address (e.g., 151 O’Connor St.) instead of your retail locations or the latitude and longitude.
特定の範囲内の顧客をセグメントできる customer_within_distance
は、前回のEditions Winter 2024で追加されたフィルター(参照:前回の解説記事)ですが、これまでは「Shopifyに拠点として追加している座標を中心とする」形でしか範囲を設定できませんでした。
今回、フィルターのフォーマットとして coordinates
が追加されたため、任意の地点を指定可能になりました。地点の指定も、緯度経度座標だけでなく、住所テキストなどの日本語で指定が可能です。例えば、ポップアップストアや新店舗の出店を告知する際などに、近辺のユーザーを絞り込んだ顧客セグメントを作成することが可能になりました。

Metafields sync with Forms (Shopify Formsのフォームがメタフィールドと同期できるように)
Edit custom metafields and Shopify Forms will automatically reflect your changes, keeping customer data accurate and consistent.
▶︎Shopify Forms カスタム入力フィールド | Shopifyヘルプセンター
Shopify公式のフォーム作成アプリ「Forms」で作成するフォームが、メタフィールドと同期可能になりました。
初めてフォームを入力したエンドユーザーのメタフィールドに情報を格納するだけでなく、該当のユーザーが再度フォームに訪問した際には、以前の入力内容を呼び出して表示可能に。表示された内容をもとに、情報の編集も可能です。
これまでは、一度入力した情報を再訪問時に表示することができなかったため、「このフォーム、自分は入力したんだっけ?」とエンドユーザーを迷わせてしまう部分がありました。
(会員登録導線以外で)顧客の情報を追加で取得したい際などに、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
レポート機能・管理画面
New web performance reports (レポート機能でCore Web Vitalを指標として利用できるように)
Optimize your Core Web Vitals by diving into detailed page-level analytics to diagnose performance issues.
ストア分析のレポート機能で、指標としてCore Web Vitalsが扱えるようになりました。
Core Web Vitalsに関しては、Google for Developersの説明をご参照ください。
- Largest Contentful Paint(LCP)
読み込みパフォーマンスの尺度。優れたユーザー エクスペリエンスを提供するには、ページの読み込み開始から 2.5 秒以内に LCP を実現するようにします。 - Interaction To Next Paint (INP)
応答性の尺度。優れたユーザー エクスペリエンスを提供するには、INP を 200 ミリ秒未満に収めるようにします。 - Cumulative Layout Shift(CLS)
視覚的安定性の尺度。優れたユーザー エクスペリエンスを提供するには、CLS スコアを 0.1 未満に収めるようにします。
参照:https://developers.google.com/search/docs/appearance/core-web-vitals?hl=ja
普段Shopifyの管理画面を操作している皆さんに馴染みのあるものですと、【Shopify管理画面 > 販売チャネル > オンラインストア > テーマ】で確認できた「サイトパフォーマンス」や「読み込みスピード」のスコアが該当します。これらの指標を、さらに詳細なレポート画面で確認できるようになりました。
読み込みスピードや見やすさ、反応速度をページごとに確認できます。具体的なユースケースとしては、例えば新しいLPを作成した後、LP内のクリエイティブやコンテンツがサイト全体のパフォーマンスに影響を与えていないかを確認したりする際に使えそうです。

▶︎オンラインストアのパフォーマンスを向上させる | Shopifyヘルプセンター
More features in the new analytics (新しいレポート機能で類似ストアとのベンチマークやコホート分析が可能に)
Access more analytics features in the updated experience, including benchmarks and the Customer cohort analysis report.
▶︎レポートのベンチマーク | Shopifyヘルプセンター
ストア分析のレポート機能で、「自分のストア」と「類似のストア」を比較するためのベンチマークデータを表示可能になりました。

青色の自ストアデータに重ねて、類似ストアのデータ分布が表示されます。また中央値も表示されるため、どれくらいギャップがあるかも確認が可能です。
ちなみに、ベンチマークされる類似ストアについては、下記数値・基準に基づいて同じコホートのストアが参照されるとのことです。
- 注文量
- 主要なマーケットの国
- 過去30日間に販売された商品のカテゴリー
Smarter, faster admin loading (管理画面の読み込みが高速化)
Get smarter loading indicators that appear only when needed in an admin that loads 30% faster.
管理画面の読み込みが30%早くなったそうです。シンプルに嬉しいですね!
ワークフローの自動化アプリ「Shopify Flow」
Sample data for Flow variables (Shopify Flowの変数ピッカーでサンプルデータを表示することができるように )
Build automations faster with real sample data for each variable, like “Product handle: digital-gift-card,” removing the guesswork from creating workflows.
▶︎Shopify Flowで使用されているAPIデータをプレビューする | Shopifyヘルプセンター
Shopify Flowの変数選択画面で、サンプルデータを確認できるようになりました。直近の注文や顧客などを選択できるようです。
これまでは、Log Outputなどをして変数から返ってくるデータやその型を確認する作業が発生していましたが、その必要がなくなり、すぐに確認できるようになりました。
例えば、下記画像内では confirmed
には ブール値(Boolean)
が定義されていますが、選択した注文データからは実際に true
で返ってくることが示されています。

この他にも 日時型(DateTime)
への返り方や CurrencyCode
など独自のフォーマットに関してもすぐに確認できるので、かなり便利になりました!
Detailed Flow troubleshooting (Shopify Flowのアクテビティログの記録期間が14日に伸び、トリガーデータも詳細に)
Better troubleshooting in Shopify Flow with detailed step data and retained logs for 14 days. Also, search by order IDs, tags, and more.
Shopify Flowのアクティビティログの記録期間が過去7日間→14日間に伸びました。
7日間だと、何か異変に気づいてから検証などを進めている間にログが消えてしまうこともあったのですが、2週間だと余裕が生まれますね。
また、これまではトリガーした注文・顧客へのリンクのみされていたところ、アクティビティログ上でトリガーデータをクエリ形式で出力するようになったため、各個別ページに飛ぶ必要なくトラブルシューティングできるようになりました。
https://changelog.shopify.com/posts/flow-improved-workflow-run-details-page-and-search
※これ自体は、1月30日のChangelogで公開・適用されていた変更です。
Enhanced “For each” in Flow (Shopify FlowのFor eachブロックに複数アクションを繋げられるように)
Improve list handling with a more flexible “For each” loop in Shopify Flow that now allows nested loops and multiple actions inside each loop.
これまで、Shopify Flow上で Get data
した項目に対してアクションを実行するための For each(項目ごとに)
ループアクションは、1つのアクションしか繋げられず、実行したいアクションの数だけ「For each」を設定する必要がありました。
今回のアップデートで複数のアクションを繋げられるようになったため、ワークフローの作成が効率化されました!

さいごに
AIアシスタント「Sidekick」やストア分析、CRM PLUS on LINEと併用機会の多い「Shopify Flow」や「顧客セグメント」関連のアップデートを中心に取り上げさせていただきました!
今後も本ブログでは、日々多くリリースされるShopifyのアップデート内容から、CRM PLUS on LINEユーザーとしておさえておきたい内容をいち早く発信できるように努めていきます!ぜひ今後もご一読よろしくお願いします。
前回のShopify Editions Winter 2025版も公開していますので、こちらもぜひ併せてご一読ください。