
はじめに
Shopifyが年2回、新機能やアップデートのまとめを発表するShopify Editions|26年冬が発表されました。今回も内容盛りだくさんで、150を超えるアップデートが含まれています。
本記事では、「Shopify Editionsは広範囲にわたるアップデートの羅列で、キャッチアップするのが大変だ」という声に応え、「CRM PLUS on LINEユーザー様が、周辺知識としておさえておくと良さそうなもの」という切り口で、重要ポイントをピックアップしてご紹介します。
日々の運用や施策設計のヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
Winter 2026 の主なトピック
今回のアップデートの全体像を整理すると、主に以下の4点が軸になっています。
- AI(Sidekick)を中心とした運用支援の進化
- ストア運営を効率化する管理画面・ワークフロー改善
- 分析・最適化を支援するマーケティング/データ機能の強化
- 開発者・拡張性を意識した基盤アップデート
今回は、派手な新機能というよりも、運営が楽になり、成果につながりやすくなる改善が多い点が特徴です。
なかでも注目したいのが、Sidekickのアップデートです。これまでよりサポート範囲が広がり、ワークフローの作成はもちろん、カスタムアプリ作成の補助まで可能になりました。
次章では、これらのトピックを踏まえつつ、CRM PLUS on LINEと関連性の高いアップデートを中心に紹介していきます。
Sidekickは発表当初や日本語対応時には「あと一歩」という印象が拭えませんでしたが、改めて触れてみると大幅に進化しており、実務レベルで「便利」と感じられる段階にまで到達していると感じました。
早い段階で触れて同じ印象を持たれた方こそ、ぜひあらためてお手元で試していただきたいアップデートがそろっています。
Sidekickが「相談役」から「実務パートナー」へ
ここからは、Sidekickに関連する具体的なアップデートを見ていきます。
Create Flow automations with Sidekick/Sidekickでフロー自動化を作成
Workflow automations / ワークフローの自動化
Describe the workflow you want to automate, and Sidekick will build it in the Shopify Flow app.
▶︎関連ドキュメント:Create Flow automations with Sidekick – Shopify Changelog
Shopify Flowを自然言語で相談しながら作成できるようになりました。今まではどんなトリガー・アクションが存在するのか、特定のトリガーで参照できる情報は何かを把握したうえで、トリガーや適切な条件分岐、アクションを自分で設定する必要がありました。
今回のアップデートにより、ワークフロー作成時に最初からSidekickが立ち上がるUIに変更されています。

「休眠顧客向けのLINE配信施策を考えたい」といった目的ベースの相談から、ワークフロー作成をサポートしてもらうことが可能です。

Segmentation support / セグメンテーションのサポート
Sidekick can help you build segments or generate them from scratch.
▶︎関連ドキュメント:Shopify Help Center|Sidekickでコンテンツを生成する
セグメントの構築や、ゼロからの生成もサポート可能になりました。例えば「最近購入していないユーザー」とSidekickに入力すると、last_order_date < -180d といったクエリを自動生成してくれます。


このように、正確なクエリ構文を覚えていなくても、自然言語で条件を指定するだけでセグメント作成が可能です。
ただし、注意点として「ID連携しているユーザー」のような、Sidekickが把握していないプロンプトはうまく実行できません。あくまで顧客セグメントで指定可能な条件の範囲内で依頼する必要があります
具体的なクエリの仕様は Shopify Help Center|お客様セグメントを作成する をご参考ください。


Shortcuts for prompts / プロンプトのショートカット
Turn your Sidekick prompts into reusable Skills, then share your favorites with the community and discover new ones to try.
▶︎関連ドキュメント:Shopify Help Center|Sidekickで保存したプロンプトを使用する
Sidekickで使用したプロンプトを、再利用可能な「スキル(Skill)」として保存・利用できるようになりました。一度作成したSkillは他の人と共有することもでき、ワンクリックですぐに適用可能です。
よく利用する定型的な運用や分析指示をスキル化しておくことで、プロンプトを入力する手間がなく再現性の高い指示を出すことができます。


Email editing / メール編集
Sidekick can help you edit emails in the Shopify Messaging app email editor.
▶︎関連ドキュメント:
Shopify Help Center|Sidekickでコンテンツを生成する
Shopify Help Center|Shopify Messagingを使用してメールマーケティングキャンペーンを作成する

メール編集画面にSidekickのアイコンが表示されるようになりました!
今回のアップデートにより、Shopify Messagingアプリ内のメールエディタでもAIを活用しながら編集できるようになります。文章の修正やトーン調整、内容の整理などをサポートしてくれるため、メール作成の負担軽減にもつながります。
また、具体的な修正指示を出すだけでなく、画像のように「開封率を改善したい」といった目的を入力することで、意図に沿った文面や件名の改善案を提案してくれます。
Shopify Flowのアップデート
SidekickによりShopify Flow作成のサポートが受けられるようになったほか、細かいですが嬉しいアップデートをいくつか紹介します。
Preview workflow results in Flow/Flowでワークフローの結果をプレビュー
Test workflows in the Shopify Flow app before going live and adjust logic without impacting real store data.
▶︎関連ドキュメント:Shopify Help Center|Shopify Flowでワークフローをテストする
▶︎関連ドキュメント:Shopify Help Center|待機
実際のストアデータに影響を与えずに、Shopify Flow アプリでワークフローをテストし、ロジックを調整できます。
今までワークフローをテストするには実際の注文データ、会員データを利用してワークフローのトリガーの動作を確認する必要がありましたが、実際のデータに影響がない形でワークフローをテストすることができます。
ただし、一部のアクション(外部APIの実行など)はShopify Flowに権限がなくて実行できない場合もあります。ストア内のアクションでワークフローをテストする分には問題ありません。



Redesigned Flow editor/再設計されたワークフローエディタ
Build large automations in the Shopify Flow app with more workspace in the vertical layout.
▶︎関連ドキュメント:Shopify Help Center|Shopify Flowのワークフローエディタの使用
ワークフローエディター(ワークフロー編集画面)がリニューアルされました。デフォルトのレイアウトが横向きから縦向きになりました。
分かりやすい変更部分を挙げると「ワークフローを縦方向に整理」するボタンが追加されています。

「ワークフローを整理する」をクリック

縦型レイアウトに切り替わります。

Cancel workflow runs in Flow/Flowでワークフローの実行をキャンセル
Stop automations by cancelling a run or multiple runs in the Shopify Flow app.
▶︎関連ドキュメント:
Shopify Help Center|ワークフローの実行の検索と監視
Shopify Help Center|待機
実行中のワークフローに関する機能アップデートです。実行中のアティビティを、途中で実行をキャンセルできるようになりました。
例えば、10日後に送信予定のLINEメッセージをキャンセルしたい場合、これまではトリガーが発火したワークフローのアクションは、実行前であってもキャンセルできませんでした。今回のアップデートにより、アクションが実行される前であれば途中でキャンセルできるようになり、誤配信のリスクを軽減できます。
注意点は以下です。
- 特定の、もしくは複数の実行中のワークフローをキャンセル
- アクションが完了したワークフローはキャンセル不可
- 一度キャンセルしたアクションは再開できない
また、Waitアクションが入ったワークフローでは実行中にWait後のアクションを変更した場合、変更後のアクションでワークフローが実行されます。ワークフローの内容によりキャンセルするか、ワークフローを途中で変更するか判断する必要があります。
オンラインストアに関するアップデート
Test and time your launches with Rollouts / Rolloutsでローンチのテストとタイミングを管理
Test and time your launches with Rollouts, built directly into the admin.
▶︎Shopify Help Center|Rollouts
ロールアウトは、オンラインストアへの変更を公開前に管理、スケジュール設定、テストするための一元化されたシステムです。
早期アクセスの機能のため、まだ実際に機能を確認することができませんが、ストアの変更をテスト・比較してA/Bテストを実施したり、特定のキャンペーンに合わせてテーマの変更を指定できるようになるとのことです。
LINE公式アカウントに絡めた活用方法でいうと、友だち追加・ID連携の導線やLPをA/Bテストできるようになるかもしれません。利用可能になるのが待ち遠しいですね!
Automatic discounts for eligible customers / 対象のお客様への自動ディスカウント
Run targeted promotions by creating automatic discounts that target specific customers, such as VIPs.
▶︎関連ドキュメント:
Shopify Help Center|自動ディスカウント
Shopify Help Center|ディスカウントの管理と編集
顧客セグメントに応じて、自動でディスカウントが適用される仕組みが強化されました。
これまではディスカウントコード(クーポンコード)をお客様自身で手動で入力し、ディスカウントを適用するフローでしたが、ユーザーが対商品をカートに追加しており、顧客セグメントの対象であれば自動でディスカウントコードが適用されます。
CRM PLUS on LINEではディスカウントコードの案内をLINEで配信する施策を紹介してきましたが、このアップデートによりディスカウントコードなしでもお客様が購入する時に自動でクーポンを適用させることができます!
ただし、ディスカウント対象の条件は引き続きお客様へ案内する必要があります。
LINEなどのメッセージでディスカウント条件を案内したり、現在どのようなディスカウントが有効になっているのかを、チェックアウトページで表示させる工夫は引き続き重要なポイントです。
お客様アカウント(新しいお客様アカウント)
Customer sign-in with social accounts / お客様のソーシャルアカウントによるログイン
Let customers sign in to your store with Google or Facebook.
▶︎関連ドキュメント:
Shopify Help Center|お客様アカウントのソーシャルログイン
Shopify Help Center|顧客体験
新しいお客様アカウントを使用しているマーチャントでは、GoogleとFacebookログインを追加できるようになりました。
詳しくはこちらのスレッドにて
従来のお客様アカウントでは外部サービスを利用してログインするには Multipass API を利用してプラットフォームと連携を行っていましたが、新しいお客様アカウントではOIDCに対応した外部IDPを接続する方式に移行しており、これまでとログイン方法の追加手段が異なります。
なお、外部IDプロバイダ接続(Shopify標準のログイン方式の代わりに、外部IDプロバイダで認証する/=共通ID基盤を使う形にできる)にはShopify Plusの利用が前提となるため、共通IDを利用するには引き続きShopify Plusの利用が必須です。
また、外部IDプロバイダを使ってサインインしている場合、顧客はアカウントページからメールアドレスを更新できません。
Customers can edit their email addresses / お客様がメールアドレスを編集可能に
ワンタイムパスコード認証を使用して、お客様自身がアカウント内でメールアドレスを変更できます。
▶︎関連ドキュメント:Shopify Help Center|顧客体験
いままで新しいお客様アカウントでは登録後お客様自身でメールアドレスを変更できませんでした。アップデートにより登録アドレスが変更可能に!
ただしすでに別のメールアドレスで登録されている場合、自動で統合はできません。引き続きShopifyの管理画面上のみで実行できます。
その他のアップデート
Shopifyメールが Shopify Messaging アプリへ
Shopify Messaging supports SMS marketing
Create, schedule, send, and track SMS marketing campaigns in the Shopify Messaging app.
▶︎コマースのためのメールマーケティング | Shopify App Store

Shopify MessagingアプリでSMSマーケティングキャンペーンを作成、スケジュール設定、送信、追跡できます。元々Shopify ではメール配信を行う純正のアプリを提供していました。アップデートによりメールだけではなくSMSの配信も可能になりました。
今回のアップデートの前にも以前はバラバラだったオートメーションの機能が、Shopify Flowに統合される形でワークフローを共通化できたりと、アプリ内での機能拡充や統合が進んでいる機能です。
配送通知はSMSで通知可能ですが、オートメーションは日本ではまだ実施できません。

▶︎Shopify Help Center|SMSマーケティングキャンペーンの価格設定と請求書
Shopify Forms marketing consent
Decide how you collect marketing consent per form with the Shopify Forms app.
▶︎関連ドキュメント:Shopify Help Center|フォーム設定
こちらも嬉しいアップデートです。Shopify Formsアプリで「フォームごと」にマーケティングに関する同意(オプトイン)の取り方を選べるようになりました。ストア全体で一律ではなく、フォーム単位で同意の挙動を決められるようになりました。
ストア全体で一律ではなく、用途に応じた柔軟な設計ができる点は嬉しい改善です。
▶︎Shopify Formsを利用したブログ記事:
まとめ:AIを前提に、EC運営の標準レベルが引き上げられるアップデート
今回のアップデートを通して感じたのは、Sidekickの進化によって施策に着手するまでのハードルがかなり下がったという点です。ワークフローやセグメント作成など、これまで「まず仕様を理解する」必要があった作業も、やりたいことを起点に進めやすくなりました。
とはいえ、Shopifyアプリとの連携や、標準機能の外まで踏み込んだ施策については、まだ人の判断や手作業が必要な場面も少なくありません。
現時点では、Sidekickがすべてを代わりにやってくれるという段階ではなさそうです。AIの進化スピードは目まぐるしく、ほんの数年で業務になくてならない存在へと変わっていきました。今は少し物足りなく感じる部分も、来年には当たり前のように解消されているかもしれません。
AIが提示する選択肢や提案を正しく取捨選択し、自社にとって最適な形で活用していくためには、継続的なキャッチアップがこれまで以上に重要になります。
ソーシャルPLUSでも、今後もShopifyのアップデート情報や活用のヒントを発信していきますので、ぜひチェックしてください!


